塗料やインキに加え電極スラリーなど、コーティング液の製造・調整から塗布乾燥までのプロセスにおいて、各局面で発生する問題について、その原因と対策を解説する。
特に水系材料は液の状態では高極性、塗布乾燥後には相対的に低極性塗膜となるように、極性の変化や表面張力の変化が大きな材料系である。非極性粒子の濡れ及び分散安定化、基材への濡れ性、泡の抑制・除去、レオロジー特性の制御など、多くの単位技術が盛り込まれている。ここではよく見られるプロセス上の技術的問題と対策を、添加剤技術を中心に紹介する。
化学が専門でない方にも理解していただけるよう、基礎的な概念をおさえたうえながら、できる限りわかりやすく説明したい。技術的課題解決の紹介にあたっては、塗料・インキ・インクジェット・電池・接着剤の分野など、その例を幅広く取り上げる。またカーボンニュートラルやSDGs達成の視点から、バイオベース製品に有用な、再生産可能原料を使用した添加剤も紹介する。
- 水系コーティング液の調整時の課題は
- 濡れ性がまず課題となる有機顔料と安定化が課題の無機顔料・フィラー
- 粒子の沈降の防止も大きな課題
- 粒子の分散安定化の基礎的な考え方
- 分散安定化を図る湿潤分散剤の構造と特徴点
- 水系コーティング液の塗布・乾燥時の課題
- 下地への濡れ不良と表面張力
- 汚染物によるはじきの不具合を改善する
- 必須課題である泡の問題の解決には
- マイクロフォームとマクロフォーム除去の消泡剤
- 環境負荷低減 バイオベースの消泡剤
- 形状を保持する、たれを抑制するレオロジーコントロール技術
- レオロジーコントロール剤・増粘剤の構造と特徴
- 層状ケイ酸塩とセルロース系増粘剤の相互作用
- 層状ケイ酸塩LAPONITEによるピッカリングエマルジョンの利用
- 増粘剤の選定では粒子や他の材料との相互作用にも注意
- 膜の特性と評価
- 表面の平滑性を向上するには
- 表面調整剤による膜特性の向上
- 塗り重ねでの不具合
- バイオベースワックス系粒子による表面保護・タック防止
- 層状ケイ酸塩LAPONITEによるバリア効果・帯電防止効果付与
- 膜の評価方法
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