CO2問題、AI、5Gなど取り巻く環境が大きく変化する中、自動車は、電動化、CASE、MaaSなど、今、大変革の時期と言われている。そうした中、自動車の構成材料も、これまでのフルスチールから、アルミやCFR (T) Pのような軽量高強度材料が多く採用されるようになってきた。更には、植物の成分であるセルロースをナノ繊維化 (CNF) しプラスチックを複合強化した材料 (CNFRP) も注目されるようになってきた。また、マルチマテリアル化という考え方も強調され、異材接合技術とともに盛んに研究されている。
では、なぜ、このような新しい材料が注目されているのか。それは、自動車を取り巻く環境の変化と密接な関係がある。ついこの間、国のカーボンニュートラル宣言がなされた。やはりCO2問題であり、今後ますますその対策に拍車がかかることは間違いない。そうした中、各国は、走行時のCO2排出量規制を掲げ、自動車全体の80%以上を占める走行時のCO2排出量対策に余念がない。電動化や軽量化はその一環であり、軽量高強度材料に目が向けられている。ただ、次に多い素材製造時のCO2排出量に関しては、なかなか手が付けられない現状にある。本格的なLCA対策として植物資源に目が向けられている。ただ現技術では、軽量でLCAに優れた材料で、コスト要求も含め、満足する材料は、残念ながら見当たらない。そこで出てきた考え方がマルチマテリアルである。ここでは、これらの材料の動向と今後、普及・定着するための課題や一対策案について紹介し、議論してみたい。
- 自動車を取り巻く環境の変化
- 温暖化
- SDGsへの取り組み
- 情報社会 (AI、IoT、5G…) との連携
- 各種モビリティの共演
- 自動車の大変換
- 環境対応車両への期待
- 電動化の取り組み
- 地域、人が造る自動車
- CASE、MaaSの導入
- 自動車材料の改革 (2010~)
- 軽量材料に期待 (LCA、カーボンニュートラル的見地)
- CFR (T) Pに注目
- CFR (T) Pとは (材料、設計、成形法)
- CFR (T) Pの歴史
- CFR (T) Pの動向
- CFR (T) Pの課題
- 自動車材料の改革 (2030~)
- 環境材料に期待 (LCA、カーボンニュートラルの本格化)
- 植物系材料への期待と課題
- CNF複合材料 (CNFRP) に注目
- CNFRPとは (材料、設計、成形法)
- CNFRPの動向
- CNFRPの課題
- 自動車材料の改革 (2040~)
- ハイブリッド材料に期待 (適材適所の考え方)
- マルチマテリアルに注目
- マルチマテリアルとは
- マルチマテリアルの動向
- マルチマテリアルへの一提案 (CFR (T) PとCNFのコラボ)
- マルチマテリアルの普及と課題
- まとめ
- 質疑応答
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