洗浄バリデーションの目的は、設備の洗浄の有効性を明らかにし、もって医薬品の交叉汚染を防ぐことであり、医薬品製造における品質確保のために不可欠なものです。昨年、改正されたGMP省令においても、PIC/S GMPと整合性をとる形で、医薬品の製造設備共用時の交叉汚染限度値として薬理学的および毒性学的データに基づいて残留許容限度値を設定することが要求されました。
また、GMP省令の施行通知では、共用施設における医薬品の交叉汚染リスクを評価しコントロールするために、毒性学的根拠に基づく交叉汚染限度値を設定し、それを指標とした品質リスクマネジメントプロセスを適用することを要求するようになりました。洗浄バリデーションでは、効果的で科学的かつ合理的な洗浄手順を設定し、リスクベースアプローチに基づき決定された回数のバリデーションを実施することにより検証を実施しなければなりません。洗浄方法についてもCIP (定置洗浄/Cleaning In Place) またはCOP (定置外洗浄/Cleaning Out of Place) を選択しなければなりません。つまり自動洗浄とするか、マニュアル洗浄とするかです。サンプリング方法もスワブ法またはリンス法を選ばなければなりませんが、サンプリングの第1選択はスワブ法であることに留意が必要です。FDAではリンス法によるサンプルのみを洗浄バリデーションのサンプルとすることを認めていません。GMP事例集 (2022年版) においても、第1選択はスワブ法が望ましい旨の記述があります。 さらにDHT (ダーティホールドタイム) およびCHT (クリーンホールドタイム) ともにワーストケースを用いてバリデーションを実施する必要があります。HBEL (Health Based Exposure Limits : 健康に基づく暴露限界) にも配慮することが求められます。
本セミナーでは、難解な洗浄バリデーションに関して、初心者にもわかりやすく解説します。
- はじめに
- バリデーションの考え方の誕生
- FDAと洗浄バリデーション
- バリデーションとベリフィケーションの違い
- バリデーション基準の改定 (施行通知)
- PIC/S GMP Annex 15 適格性評価とバリデーション 適格性評価、バリデーション、ベリフィケーション
- 洗浄バリデーション概要
- 洗浄バリデーションの重要性
- 洗浄バリデーションに対する要求事項の変化
- 洗浄手順の確立
- 対象設備
- 対象物質
- 洗浄方法
- サンプリング方法
- 測定方法
- ホールドタイム
- 残留許容限値
- 品質リスクマネジメントとは
- ICH Q9とは
- 品質リスクマネジメントの原則
- なぜリスクベースドアプローチか コンプライアンス・コスト・マネジメント
- FDA cGMPs for the 21st Century Initiative
- 製品とプロセスの理解
- リスクのとらえ方
- 品質リスクマネジメントの要点
- 品質リスクマネジメント (第3条の4)
- 逐条解説 (薬生監麻発0428第2号)
- 洗浄バリデーションの実施
- 洗浄バリデーション計画書
- Fitness for purpose
- 適格性評価
- 構造設備における適格性評価 (Qualification) とプロセスバリデーション
- 適格性評価 (Qualification) とは
- 適格性評価とバリデーションのステージ (PIC/S GMP Annex 15)
- 設備の適格性評価
- 洗浄バリデーション報告書
- 洗浄作業手順書 (SOP) の確立
- CIP (Cleaning In Place/定置洗浄) の場合の記載事項例
- CIP (Cleaning In Place/定置洗浄) の場合の日常管理
- COP (Cleaning Out of Place/定置外洗浄) の場合の記載事項例
- ライフサイクルアプローチと洗浄バリデーション
- FDAガイダンス文書 “Process Validation: General Principles and Practices”
- 洗浄プロセスにおけるライフサイクル
- 洗浄バリデーションの実施回数
- 洗浄バリデーションの規制要求