既存機能の性能競争、世界初の技術の導入競争に加えて、米シリコンバレーへの進出、オープンイノベーションの推進、人工知能の活用、DXの専門組織の設置など、企業は多様な流行に追われている。しかし、消費者は最先端を求めているわけではない。人工知能と名のつく商品/サービスを欲しているわけではない。これらはすべて企業における手段であり、消費者の価値ではない。毎年のように、大量の商品/サービスが世に生まれ、大部分が消えていく背景には、そもそもの研究開発プロジェクトの目的から的が外れているケースが散見される。
研究開発部門では「どうつくるか?」、営業部門では「どう売るか?」という手段の議論からは価値は生まれない。価値づくりに不可欠な出発点は、「何をつくるか?」という目的の設定である。より具体的には、「解決したら消費者が喜んで高いお金を払ってくれる、実用的・心理的問題は何か?」の設定である。これが定まらないまま、プロジェクトを進めても、金と時間だけでなく自社の優れた技術さえも無駄にしていく。
本講演では、研究開発部門にこそ備えるべきマーケティングの考え方と、組織のあり方を含めた実行方法について述べる。
- マーケティングとは「販売を不要にする価値づくり」
- 「なぜ他社より高いお金を出してでも買いたいか?」 を考える技術者はどれだけいるか?
- 価値づくりの出発点と意思決定の基準であるコンセプトを全メンバーが即答できるか?
- デザイン・ユーザビリティを高めても価値が高まらない根本原因を理解しているか?
- 未来のトレンド予測という”無駄な”仕事をしていないか?
- 固定費回収モデルである製造業において固定費マネジメントをしているか?
- 価値づくりに不可欠な科学的検証のあるべき姿
- 価値づくりの考え方の共通認識がないまま、いきなりブレストしていないか?
- 意思決定の根拠が曖昧なまま、決断できない会議になっていないか?
- 評価者の意思決定は座る椅子の硬さで容易に変化してしまう認識はあるか?
- 成功事例をマネしても、成功を再現できないことを認識しているか?
- 仮説なきまま、手元のビッグデータを扱い、相関に溺れていないか?
- 組織のあり方
- プロジェクトを開始する前に組織のあり方を整備しているか?
- 価値づくりに貢献している人に報酬を与える人事評価になっているか?
- 価値づくりを妨害する人材の配置転換をしているか?
- 議事録は科学的根拠が記載され、メンバーに開示されているか?
- 意義の乏しい指標が乱立し、その管理業務に忙殺されていないか?
- まとめ&質疑応答
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