洗浄バリデーションに関する基準をどう決めるか? どう評価するか?

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プログラム

第1部 改正GMP省令における毒性学的評価による洗浄バリデーション

~健康ベース曝露限界値の設定、目視検査、概略ステップ~

(1日目 14:00~16:30)

 共用設備では交叉汚染防止が必須である。最近発出された改正GMP省令では、PIC/Sのガイドラインにもとづき毒性学的評価による洗浄バリデーションが必要とされる。そのためのツールは「健康ベース曝露限界値」である。  本セミナーでは、改正GMP省令の内容を概観したうえで、健康ベース曝露限界値の設定 (さまざまな物質のHBEL設定、データが少ない場合の対応などを含む) 、シミュレーション事例、目視検査、今後の洗浄バリデーションの流れ、 PIC/S関連ガイドライン・査察官用備忘録などについて説明する。

  1. 改正GMP省令における毒性学的評価による洗浄バリデーション
    1. 改正趣旨
    2. 施行通知にみる洗浄バリデーション
    3. 交叉汚染防止
    4. 専用化要件
    5. 省令が適用されない場合の共用製造
    6. 健康ベース曝露限界値を用いる洗浄評価
    7. 今後の洗浄実務に要求されること
  2. 健康ベース曝露限界値
    1. 概要
    2. 健康ベース曝露限界値の定義・意味合い・用語
    3. 健康ベース曝露限界値の計算式
    4. 不確実係数の設定
    5. 遺伝毒性物質
    6. 治験薬
    7. バイオ医薬品
    8. 洗浄剤
    9. 中間体
    10. 毒性データが限定されている場合の対処
    11. 健康ベース曝露限界値のバラつき
    12. 毒性学専門家の要件
    13. 健康ベース曝露限界値評価文書
    14. 健康ベース曝露限界値を取り扱う上での留意事項
  3. 健康ベース曝露限界値を用いた洗浄評価シミュレーション事例
    1. シミュレーション事例
    2. まとめ
  4. 目視検査
    1. 目視検査の位置付け
    2. 目視で検出できるレベル
    3. 目視検出限界の設定方法論
    4. 目視検出限界をめぐる課題
    5. 目視検査を唯一の基準とすることの議論
  5. 今後の洗浄実務
    1. 基本的な評価指標
    2. 今後における伝統的洗浄評価基準の取り扱い
    3. 洗浄バリデーションの流れ
    4. テストランの回数
    5. 洗浄の目標設定について
    6. 分析機器について
  6. 洗浄にかかわるPIC/S ガイドラインの概要
    1. PIC/S 健康ベース曝露限界値設定のためのガイドライン
    2. PIC/S 健康ベース曝露限界値設定ガイドライン Q&A
    3. PIC/S Aide Memoire (共用設備における交叉汚染防止備忘録)
    4. PIC/S Aide Memoire (健康ベース曝露限界値の評価/利用に関する備忘録)
  7. 専門家団体からの洗浄に関連するガイドライン
    1. ISPE
    2. ASTM
    3. APIC

第2部 洗浄バリデーションにおける残留限度値とホールドタイム (DHT/CHT) の設定

(2日目 10:30~13:00)

 1993年に発表されたFourmanとMullin論文は一世を風靡したが、低リスク製品について不必要に低限度値を要請するなど問題もあり、21世紀に入り、ISPE (国際製薬技術協会) が科学的根拠 (毒性データ) とリスクに基づく残留限度値の設定を提唱して以降は、健康ベース暴露限界値 (HBEL) の設定へと流れが変わった。  洗浄バリデーションはあくまでも汚染/交叉汚染防止策の一手段であって、接薬部位の洗浄だけで交叉汚染を防止できるわけではない。例えば、CHTの妥当性検証には、作業環境の清浄度管理などにも着目する必要がある。DHT/CHTの設定は企業にとって健康リスクへの一層の考察を要請する。こうした洗浄バリデーションに係る最新動向について分かりやすく解説する。

  1. 交叉汚染リスクへの対応状況が注目されるようになってきた
    1. 洗浄バリデーションは交叉汚染対策の一手段
    2. 共有設備内の交叉汚染に関するPIC/S備忘録
    3. 汚染管理戦略の構築を行う
    4. 洗浄バリデーションマスタープランの策定
  2. 洗浄対象物に思い込みをしない (前ロットのAPIのみに焦点を当てない)
    1. 洗浄バリデーションは専用設備でも必要
    2. Leachables/Extractablesの同定
    3. 微生物とエンドトキシン汚染によるリスク
    4. 非日常的作業後の洗浄にも留意
    5. 原料供給業者が変われば不純物も変わる
    6. TOCによる残留物評価
  3. ダーティホールドタイム (DHT) とクリーンホールドタイム (CHT)
    1. 長期保管後に再洗浄すれば良い?
    2. 留意すべきは想定外の交叉汚染源
    3. 沈降粒子の巻き上がりリスク
    4. スモークスタディの要請
    5. 直接有効成分に触れない設備への配慮
    6. 環境モニタリングデータの精度は低い
    7. 床、壁の残留許容量はどう考えるか
  4. 残留許容値の設定
    1. FourmanとMullin論文の影響
    2. 0.1%基準の問題点
    3. 目視限度値の設定
    4. 投与量基準から毒性発現量基準へ
    5. RISK Mappの論点
    6. NOAEL (無毒性量) とNOEL (無影響量)
    7. EMA (欧州医薬品庁) ガイドラインが主導へ
    8. 健康ベース暴露限界値:HBEL
    9. ASTM E3219のHBELの計算式
    10. HBELの設定は専門知識が必要
    11. 残留許容値に関する動向
    12. ベンチマークドーズ法
    13. 残留許容値設定はまだまだ発展途上
    14. 不純物・分解生成物の許容量
    15. 遺伝毒性不純物はどう考えるか
    16. ICH M7変異原性不純物ガイドライン
    17. LD50からのNOELの算出とLD50を用いることの議論

第3部 洗浄の留意点、サンプリング方法と箇所の設定、回収率の測定

(2日目 14:00~16:15)

 洗浄バリデーションでは残留許容値の設定に議論が偏りがちであるが、実務者にとっては、益々タスクのかかる洗浄バリデーションを効率的に実施するために、どのような洗浄方法を採用するか、どのように残留量を確認するか、どの程度の回収率なら良しとするか等の方法論を知りたいはずである。これらに関しては洗浄バリデーション関係ガイドラインに詳述されていない。演者の経験をもとにこれらの課題について事例を紹介する。

  1. 洗浄剤の選定
    1. どのような洗浄剤・溶剤が使用されているか
    2. 湿潤剤 (界面活性剤) の種類
    3. アルカリ性洗浄剤/酸洗浄剤の特徴
    4. 賦形剤、コーティング剤の洗浄に適した洗浄剤成分
  2. CIP、COPの留意点
    1. 超音波洗浄の留意点
    2. 配管のCIPの留意点
    3. 噴射洗浄の留意点
    4. 計測器の選定と取付け位置は重要
    5. 洗浄しにくい箇所 (Worst case Location) の例
    6. 分析機器もキャリーオーバーに注意
    7. バルブ・継ぎ手の選定
    8. デッドレグは短く (6Dとは)
    9. ステンレスも錆びる
    10. ルージュの発生原因と発生個所例
    11. 手洗浄の留意点
    12. 分解不可能部 (非無菌設備) の手洗浄例
  3. サンプリング方法の留意点
    1. スワブ法の利点と短所
    2. サンプリング箇所の設定
    3. サンプリング箇所の予備確認
    4. どこからどれ位サンプリング?
    5. 接薬表面積の算出例
    6. スワブ材/抽出液ろ過用フィルター材の選定
    7. リンス法の短所
    8. プラセボ法 (ダミー法) 、フィニッシュプロダクト法の問題点
    9. 分析方法の留意点
    10. サンプルの安定性に留意
  4. 回収率テスト
    1. 回収率テストの例
    2. 回収率の計算
    3. TOCを使った回収率テスト

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