1970年代のオイルショック以降、車体軽量化を目的としたCFRPブームが何度か訪れたが、現在のブームはいくつかの点で従来のものと異なっており、世界的に高い注目を浴びている。
一つは、中国をはじめとする炭素繊維内製化の動きであり、このことにより近い将来炭素繊維の価格低下が想定され、もう一つは、欧州を中心とする熱可塑性樹脂ブームであり、成形のハイサイクル化によるコストダウンとリペア・リサイクル性の向上技術が急ピッチで開発されている。
本講演では、このような外部情勢を睨みながら、炭素繊維世界生産シェア7割を維持してきた日本の産業競争力確保のために行われている量産車用CFRTP開発の国家プロジェクトの狙いと最新の開発状況を、背景となる基礎知識の詳しい解説も交えながら紹介する。
- 熱可塑性CFRPで何が出来るのか
- これまでのCFRPの問題点
- 熱可塑性CFRPによる解決の方向性
- 市場予測・市場要求から導かれる必要技術と開発目標値
- 熱可塑性CFRP開発プロジェクトのさらなる展開
- CFRPと環境問題
- エネルギーバランスからわかるCFRPによる省エネ効果
- 軽量素材比較
- CFRPのLCAと用途別の石油・CO2の削減効果
- EV,PHEVの軽量化効果
- 炭素繊維の基礎
- 構造
- 製造方法
- 特徴
- これまでの用途、これからの用途
- 熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂
- 分類
- 複合材料適用時の留意点
- 複合材料に使われる熱硬化性樹脂
- 複合材料に使われる熱可塑性樹脂
- 複合材料に使われる中間基材
- 炭素繊維とその複合材料の試験評価方法
- CFRPの成形加工最前線
- 従来市場と将来市場 (世界の出荷動向と今後期待される適用分野)
- 熱硬化性CFRPの最新成形加工技術と今後の課題
- 熱可塑性CFRPの特長を生かした成形・接合方法とその最新技術
- CFRPだから出来るリペア・リサイクルと新たな3Rシステム
- 熱硬化性CFRPと熱可塑性CFRPのリペア技術
- 熱硬化性CFRPと熱可塑性CFRPのリサイクル技術
- CFRPによる構造設計(コンポジットデザイン)
- CFRPの特徴を活かした構造設計
- コスト・強度信頼性制約下でのCFRP構造設計
- おわりに
- 市場構造の問題点とサプライチェーンの確立に向けて
- CFRPの活用・適用分野の拡大に向けて