改正GMP省令が2021年8月1日より施行され、我が国のGMP規制要件としてデータインテグリティ (DI) が求められることとなった。改正GMP省令の課長通知には、PIC/S査察官むけデータインテグリティガイダンスが参考になると記載されている。このPIC/Sガイダンスは2021年7月1日に最終化され、データインテグリティの基本要件はALCOAプラスであると説明されている。また、紙記録および電子記録の双方に対するDI対応を求めている。
一方、査察官が期待するデータインテグリティ適合レベルは、データインテグリティ技術の普及とともに高くなる。従って、各極のデータインテグリティガイダンスを読み込んでALCOAプラスを頭のなかで深掘りしても、査察官が現時点で期待するデータインテグリティ実務レベルにたどりつけない。査察官が期待するデータインテグリティ実務レベルは、当局査察における指摘事例から学び取るのが確実である。
FDA査察における生の指摘文書はFDAへ開示請求することにより入手できる。本講座では、米国情報公開法 (FOIA) にもとづきFDAから入手した1,600件を越す生の査察指摘事例を参照しながら、ラボと製造におけるデータインテグリティ実務対応を以下の流れで具体的に説明する。
- 1,600件を越すFDAの査察指摘から抽出したDI指摘事例の紹介
- DI指摘事例や各極ガイダンスから学び取ったDI実務対応の説明
- PIC/S査察官むけDIガイダンスの解説
上記の流れにより査察指摘事例やDI対応実務をイメージしながらPIC/Sガイダンスの条文を具体的に理解していただける。また、電子ファイルにてご提供するPIC/Sガイダンスの解説対訳により、ガイダンス詳細の理解を深めていただける。
コンピュータに不慣れな方にも十分理解していただけるよう、ERES (電子記録・電子署名) とCSV (コンピュータ化システムバリデーション) の基礎から説明する。また、増加しつつあるクラウドサービス利用における留意点やスプレッドシートのCSV/DI対応の概要も説明する。
- 改正GMP省令とPIC/S
- データインテグリティとは
- CSVとERESの基礎
- データインテグリティ用語
- FDAのDI査察指摘
- 指摘トップ10 ・国内における指摘
- ラボにおける指摘 ・製造における指摘
- スプレッドシートのFDA指摘とその対応
- DI実務対応
- 紙記録 (ラボ、製造共通)
- コンピュータ化システム (ラボ主体)
- 製造装置と検査装置
- クラウドサービス利用における留意点
- ポリシーと手順書の策定方針
- 主要ガイダンスの概況
- PIC/S査察官むけガイダンスの解説
- MHRAガイダンスの要旨 (英国医薬品庁)
- FDAガイダンスの要旨
- 良くある質問
- 質疑応答
良くある質問
以下をはじめとする質問、および事前に提出いただいた質問にお答えする。
- 監査証跡の定期的レビュ – をどのようなタイミングで行えばよいのか
- 監査証跡の定期的レビュ – をどのような方法で行えばよいのか
- 監査証跡機能がない場合どのように対応すればよいのか
- 監査証跡機能がないと査察で指摘されるのか
- 監査証跡はどのようにバリデートすればよいのか
- 試験関係者がシステム管理者になるとなぜ指摘を受けるのか
- HPLCのプリントアウトを生データとすると指摘を受けるのか
- データインテグリティはどのように査察されるのか
- 工程内検査のインテグリティは査察されるのか
- 個別のアカウントを設定できない器機/システムは更新が必要か
- 電子生データはどのように管理・運用すればよいのか
- スタンドアロン機器のデータインテグリティ対応はどの程度必要か
- ハイブリッドシステムはどのように対応すればよいか
- FDA査察をのりこえるにはどのような対策が必要か
- 治験薬における対応はどの程度必要か
- リスク対応はどのように行えばよいのか
- OOS処理の査察指摘はどのようにすれば回避できるのか
- LIMS導入はデータインテグリティ対応となるか
- Empower 3等のCDS導入はデータインテグリティ対応となるか
- バックアップの定期的リストアテストは必要か
- ALCOAをベースにGAPチェックリストを作ろうとしたが難しい
- 試験実施者に解析メソッド作成・変更の権限を与えて良いか
- 同じ分析装置にGMP試験とGMP適用外の試験を混在させてよいか
- 電子記録バックアップの隔離保管は必要か
- システム管理を行うIT職員にGMP教育は必要か
- OSへの共通IDログインは許容されないのか
- スプレッドシートのデータインテグリティ留意点
- LIMSやSDMSへデータを吸い上げたら分析機器のデータを削除してよいか
- デジタル画像を生データとする場合、何に注意すればよいか
- 機器使用台帳 (機器使用ログ) に何を記載しなければならないのか
- AIの使用は認められるか
- コンピュータ化システムの再バリデーション頻度はどの程度が適切か
- バリデーション資料はどの程度の期間保存する必要があるか
- CDやDVDの劣化確認方法
- バックアップHDDの点検頻度
- アジャイル型開発は認められるか
- サーバーのシステム管理者アカウントを共有してよいか
- 崩壊試験や呈色滴定などのDI対応方法は
- 装置や機器のエラーをQAに報告すべきか
- ミラーリング (RAID1) はデータバックアップになるか
- 業者保守作業における監査証跡のレビューは必要か
- 検量線と面積計算のバリ資料を査察で求められた時の対応は
- イベントログの定期レビューを査察で求められた時の対応は
- CMCなど研究開発におけるDI対応は
- バックアップ/リストアの要件とその対応方法は
- 旧システムのデータが新システムで異なる結果となる場合の対応方法は
- 見読性の長期維持方法は
- 電子署名した電子記録をシステムから取り出してよいか
- 電子署名した電子記録のプリントアウトに手書き署名は必要か
- PDFを編集できると査察指摘を受けるか
- 装置バリデーションにおけるURS必要性の指導方法は
- デジタル署名と電子署名の使い分けは (リモートワーク対応)
- 電子文書を電子的に照査・承認する方法は (リモートワーク対応)
- パスワード定期変更の頻度は
- バリデーション指針とはどのようなものか
- エクセルの保護機能破り対策は
- CSVをはじめて要求された装置メーカの対応は
別冊付録
各極データインテグリティガイダンスの邦訳や解説資料を電子ファイルにてご提供する。600スライドを越す講演テキストを補完する詳細を習得していただける。
- PIC/Sガイダンス (正式版★) 解説つき対訳161ページ
- データインテグリティ入門19ページ
- HPLC試し打ち指摘とその対応3ページ
- MHRAガイダンス (GMP) 意訳 (対訳) 28ページ
- WHOガイダンス・ドラフト 要旨訳11ページ
- FDAガイダンス・ドラフト 意訳 (対訳) 32ページ
- FDAガイダンス・ドラフト 解説27ページ
- データインテグリティの是正 FDA WLの常とう句9ページ
- WHOガイダンス Appendix 1 邦訳28ページ
- MHRAガイダンス (GXP) 対訳と補足
付録データ
データインテグリティの詳細資料、Part 11、Annex 11、CSV関連の解説や邦訳など、260ファイル余を収載したCDをテキストと共にご提供する。
案内割引・複数名同時申込割引について
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