日本での承認申請データパッケージにおいて海外データが利用されるようになって久しいが、ここ数年、要求される臨床データパッケージにおける日本人データと海外データのあり方に関する解釈の変化は著しく、そのため医薬品の開発戦略は劇的な変化を余儀なくされている。
国際共同治験に関する考え方もICH E 17施行に伴い、グローバル化すると同時に日本人データに関する考え方も一部変更されつつある。バイオ医薬品の増大、先駆け指定審査制度や条件付き早期承認制度の導入も契機となり、本邦でも治験に入る段階においてCMC、非臨床データのレビューも行われるようになった。また近年ではReal World DataやModeling & Simulationの手法を用いた開発も注目されている。
このような状況下においては、過去のCTDを分析した講演や、特定の数品目における成功事例を紹介した講演だけでは、これからの開発戦略の立案や現在直面している照会事項の対応等に対して十分な知見を与えうるものにはならないと考える。
本講演においては、過去における海外データの利用状況をレビューしたうえで、海外データ利用に関し発出された通知類の解釈を確認し、最後にここ数年間の様々な分野 (固形がん、血液がん、血液製剤、CNS、免疫疾患、皮膚疾患、代謝内分泌、眼科、ハーバルドラッグなど) における20品目以上の機構相談の経験をもとに海外データ利用に関する最新の動向を考察したいと考えている。
よって本講演は海外データを利用した日本における承認を目指している方はもちろんのこと、広く医薬品の日本における早期承認のための戦略を考えている多くの方々の参考になるものと考えている。
- 国内開発と国際開発
- 臨床データパッケージにおける外国データの利用状況
- ブリッジング戦略から国際共同治験へ
- 国際共同試験実施の考え方
- 内因性、外因性民族差と国・地域による規制の違い
- 内因的、外因的民族差について
- 薬物動態に係る民族的要因
- 対象疾患に係る民族的要因
- 国際共同試験とアジア試験
- 外国 (特にアジア各国) の治験制度と実施国の選択
- オーファン指定、先駆け審査指定、条件付き早期承認制度
- オーファンドラッグの特殊性
- オーファンドラッグにおける海外データの利用状況
- オーファン指定によるメリットとデメリット
- 先駆け審査指定制度
- 条件付き早期承認制度
- 品質、安全性分野 (臨床以外) の考慮事項
- 非臨床試験
- 規格及び試験方法
- ICH M7 DNA反応性不純物の管理と評価
- 生物由来原料と外来性感染性物質
- 最近の対面助言等の事例より
(合成品、抗体医薬、ペプチド、血液製剤、生薬、Oncology、 生活習慣病、希少疾病その他)
- 日本人のPhase Iの必要性
- 海外における日本人Phase Iの実施
- Phase I実施における被験者の安全性確保
- 日本人の症例数、Modeling & Simulationと統合解析
- 治験実施におけるICH M7の考え方
- プロドラッグの開発の考え方
- 用量設定の考え方
- 生薬製剤開発時の考え方
- コンビネーション製品、併用医療機器の治験の考え方
- 未承認薬を用いた臨床研究
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