今日、省エネ、脱炭素社会に向けて、最新のパワーエレクトロニクス技術を用いた幅広い産業分野のモータの電動化と電気自動車 (EV) の普及が急加速している。各モータのインバータ駆動化に伴い、インバータサージと呼ばれる立ち上がりの急峻なインパルス電圧によって内部に微小な放電が繰り返し発生するため、絶縁システムのトラブルを引き起こすことが危惧されている。また、同時にモータだけでなく、パワーモジュール、電子回路基板や各種付属部品についても絶縁耐圧の問題がクローズアップしている。今後、高電圧化、小型化、高周波化が進めば、部分放電がさらに発生し易くなり、トラブルが深刻化することが予想される。その対策技術として、サージで繰り返し発生する微小な部分放電の検知方法、信頼性の高い絶縁システムの評価法と寿命予測が必要となり、IEC国際規格においても継続審議されている。一方、高パワー密度化が進むEVの開発においては、過酷な使用環境条件下における電動モータの部分放電と絶縁劣化対策、さらには高性能なモータ巻線開発とその有効な評価方法が必要となってきている。
モータの劣化損耗は高温下で発生するインパルス部分放電による電気的要因が主であるが、その発生メカニズムや検知の方法は、従来のAC電圧の場合と比べて大きく異なっており、十分に理解されていないのが現状である。その理由は、ナノ秒時間スケールの微少な部分放電現象の発生が様々な環境要因で複雑に変化するためである。本講演では、どのような条件で部分放電が発生し、それをどのような検知器と手順で正確にとらえることができるのか、モータ、パワーモジュール、基板などの絶縁評価試験法およびモータ巻線や基板材料への適応を目的に開発が進む高機能性ポリマー絶縁材料の開発状況について基礎から詳しく解説する。
- はじめに
- カーボンニュートラル、省エネに向けた電動化の最新動向
- インバータ駆動モータとパワーモジュールの高電圧絶縁技術
- 電気自動車EV用モータの小型・高電圧化技術の最新動向
- 高耐熱性、高熱伝導性絶縁材料開発の最新動向
- モータ/パワーモジュールの電気絶縁評価試験、部分放電と絶縁破壊の基礎知識
- 絶縁破壊につながる部分放電とは何か?
- 部分放電の発生を計測する度にばらつくのはなぜか?
- 部分放電形態と発生メカニズム
- 部分放電の持続から絶縁破壊への進展過程をいかに捉えるか!
- 3相交流モータとプリント回路基板の部分放電の相違
- インパルス電圧波形による部分放電計測がなぜ必要か、交流試験との相違
- モータ内でのインバータサージの伝搬による不平等電界の形成が理解のポイント
- 絶縁材料と絶縁破壊メカニズム
- インパルス部分放電特性と絶縁劣化メカニズム
- 各電圧波形による部分放電特性
- 環境要因 (温度、湿度、気圧) の影響
- 空間電荷 (帯電) の影響
- 高周波化 (高繰り返しサージ) の影響
- 部分放電開始電圧値 (PDIV) の理論予測
- 荷電粒子による材料の物理・化学的損耗劣化メカニズム
- インパルス部分放電計測法のポイント
- 微弱な部分放電計測の難しさとは?
- インパルス電源と電圧波形
- インパルス電圧の繰り返し昇圧印加方法
- 各種部分放電センサーと計測波形
- センサーノイズ、閾値と部分放電フリー判定条件
- 実機インバータ駆動モータのインパルス絶縁評価試験の具体例
- インパルス試験電圧波形と各結線方法
- 国際規格 (IEC) 試験方法と課題点
- 各インパルス電圧波形に対するPDIV特性
- PDIV特性の環境要因依存性
- 各コイルの分担電圧と部分放電発生箇所の推定
- 新ダブルインパルス印加法による絶縁試験方法
- 部分放電を発生させないための留意点
- 高周波パワーモジュール絶縁性能試験の具体例
- パワーモジュールの絶縁弱点ポイントと対策方法
- プリント回路基板における部分放電と絶縁破壊
- 絶縁ゲル・樹脂中の電気トリ – の発生と成長
- スイッチング周波数の高周波化の影響と高周波電圧印加試験方法
- プリント回路基板での部分放電計測と高周波試験例
- 高温下での高電圧化、長寿命化に向けた高機能性絶縁材料の性能と応用、評価試験方法
- 優れた耐絶縁特性のナノコンポジット (ナノフィラー充填) 絶縁材料の開発
- 高PDIV気泡入りモータ巻線の開発
- 低誘電率化モータ巻線の開発
- EV用平角巻線の厚肉化と部分放電の温度特性の計測
- 複層化絶縁フィルムの部分放電の温度特性の計測
- まとめと今後の課題
案内割引・複数名同時申込割引について
R&D支援センターからの案内登録をご希望の方は、割引特典を受けられます。
案内および割引をご希望される方は、お申込みの際、「案内の希望 (割引適用)」の欄から案内方法をご選択ください。
「案内の希望」をご選択いただいた場合、1名様 40,000円(税別) / 44,000円(税込) で受講いただけます。
複数名で同時に申込いただいた場合、1名様につき 25,000円(税別) / 27,500円(税込) で受講いただけます。
- R&D支援センターからの案内を希望する方
- 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 40,000円(税別) / 44,000円(税込)
- 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 50,000円(税別) / 55,000円(税込)
- 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 75,000円(税別) / 82,500円(税込)
- R&D支援センターからの案内を希望しない方
- 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 50,000円(税別) / 55,000円(税込)
- 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 100,000円(税別) / 110,000円(税込)
- 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 150,000円(税別) / 165,000円(税込)
ライブ配信セミナーについて
- 本セミナーは「Zoom」を使ったライブ配信セミナーとなります。
- お申し込み前に、 視聴環境 と テストミーティングへの参加手順 をご確認いただき、 テストミーティング にて動作確認をお願いいたします。
- 開催日前に、接続先URL、ミーティングID、パスワードを別途ご連絡いたします。
- セミナー開催日時に、視聴サイトにログインしていただき、ご視聴ください。
- ご自宅への書類送付を希望の方は、通信欄にご住所・宛先などをご記入ください。
- タブレットやスマートフォンでも受講可能ですが、機能が制限される場合があります。
- ご視聴は、お申込み者様ご自身での視聴のみに限らせていただきます。不特定多数でご覧いただくことはご遠慮下さい。
- 講義の録音、録画などの行為や、権利者の許可なくテキスト資料、講演データの複製、転用、販売などの二次利用することを固く禁じます。
- Zoomのグループにパスワードを設定しています。お申込者以外の参加を防ぐため、パスワードを外部に漏洩しないでください。
万が一、部外者が侵入した場合は管理者側で部外者の退出あるいはセミナーを終了いたします。