固体高分子電解質 (SPE) は、ポリエーテルなどの極性高分子と塩 (イオン源) から成る新しい電解質材料である。
現状のLiイオン二次電池用電解質材料は、有機溶媒やゲル状物質が主流である。
SPEは、液体などの漏洩が無く、かつ高分子特有の柔軟性を活かすことができる。
このような特徴は、デバイスの軽量・薄膜化にもつながるため、将来的にはフレキシブルで軽く安全なポリマー型電池が実現する可能性がある。
本講演では、SPEの基本的性質や材料特性を分かりやすく解説し、実用化に向けた問題点や今後の課題について述べる。
また、最近の研究成果についても紹介する。
- 第1章:基礎編
- 電解質材料とは
- 電解質材料の分類 (液体電解質と固体電解質)
- 固体高分子電解質の本質的な特徴
- 固体高分子電解質のはじまりと歴史
- 固体高分子中における塩解離とイオン生成
- 固体高分子中のイオン移動メカニズム
- 第2章:材料編
- 固体高分子電解質の基本構造
- 固体高分子電解質の種類 (バイイオン型・シングルイオン型)
- 固体高分子電解質の基本物性
- 固体高分子電解質の相図
- 錯体結晶化と高次構造の形成
- 第3章:測定・評価編
- イオン伝導度
- 測定法 (交流法と複素インピーダンス測定)
- 測定用セルの構造
- 測定システムの基本構成
- データ解析と結果の解釈
- イオン輸率
- 測定法の種類
- 測定システムの基本構成
- データ解析と結果の解釈
- その他の測定・評価
- 第4章:応用編
- リチウムイオン二次電池
- 次世代蓄電池
- その他のエネルギー貯蔵・変換デバイス
- 第5章:最新研究編 (演者による研究を中心に)
- 現状のまとめと課題
- 最近の研究動向
- 富永研究室の研究紹介
- 二酸化炭素の応用 (1) 溶媒利用によるイオン伝導度の改善
- 二酸化炭素の応用 (2) 原料利用による新規高分子の合成
- 高分子/無機フィラー複合体の可能性
- メソポーラス化合物を充填した燃料電池膜用高分子複合体
- 固体高分子電解質を利用した帯電防止ポリマーアロイの開発
- その他
- まとめ