積層セラミックコンデンサの材料設計、プロセス技術と高信頼性化

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本セミナーでは、MLCC開発で求められる技術、設計の考え方を概説いたします。
主にNi内部電極MLCCで薄層素子を形成するBaTiO3 (BT) 粉末の合成およびBT誘電体セラミックスの設計指針として、格子欠陥の生成、ドナーやアクセプター元素などによる異種元素置換による格子欠陥制御など、熱力学的考察を交えて材料組成開発に係わる組成設計を説明いたします。

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プログラム

MLCCはスマートフォーンに代表される小型電子機器から、自動車のEV化、今後の自動運転化に向けて、また、5G、IoTの進展に伴い、生活のあらゆる分野で、その需要の大幅な増大が見込まれる電子部品です。MLCCの多くはBaTiO3をベースにした誘電体セラミックスが誘電体素子に用いられています。MLCCの小型化はこの誘電体素子の薄層化によるところが大きく、MLCCの信頼性はこのBaTiO3誘電体セラミックスの材料的特性に負うところが大きいと言えます。  本セミナーでは、MLCCやMLCCに必要な素材 (セラミックス材料、電極材料、バインダーなど有機材料) に係わる技術者、および生産の第一線で頑張っておられる開発および製造に係わる技術者、品質管理や故障解析に係わる技術者の方に聴講していただければと思っています。 MLCCの信頼性に影響するBaTiO3誘電体セラミックスの設計指針として、セラミックスの基礎からBaTiO3の格子欠陥からドナーやアクセプター元素添加に係わる材料組成設計の指針までを分かりやすく説明します。MLCCに係わる皆様の日々の研究開発、製造現場での指針、方向性を提供できればと思っています。  今回のセミナーでは1日のセミナーで設計しています。MLCC専門外の方もご理解いただけるように、基礎的な事項も平易に説明し、皆さんのご理解を深められるように構成しています。また、MLCCに限らず積層セラミック電子部品の多くの関係者にも有益なセミナーと考えます。

  1. 積層セラミックコンデンサ (MLCC) の基礎
    1. セラミックスの基礎
      • 焼結現象
      • 結晶構造
      • 粒界
      • 粒成長
      • 平衡状態図
      • 全率固溶
      • 共晶系
      • 包晶系
      • 液相生成
    2. コンデンサの種類
      • アルミ電解コンデンサ
      • タンタル電解コンデンサ
      • セラミックコンデンサ
    3. インピーダンス素子としてのコンデンサ
      • 周波数特性
      • インピーダンス
      • ESR
      • ESL
      • デカップリング
    4. MLCCの概要
      • 高誘電率系
      • 温度補償系
      • 温度係数
    5. Ni内部電極MLCC
  2. BaTiO3 (BT) 誘電体セラミックスの基礎
    1. BTの強誘電性
      • 結晶構造
      • 相転移
      • 自発分極
      • ドメイン
      • ヒステリシス
      • バイアス特性
    2. BTのサイズ効果
    3. 微粒BT粉末の合成
      • 固相法
      • シュウ酸法
      • 水熱合成法
      • 加水分解法
      • c/a軸比
    4. BT誘電体原料の組成
      • アクセプター元素
      • ドナー元素
      • 添加元素
      • 分散性
    5. BT誘電体セラミックスの構造
      • コアシェル構造
      • 非コアシェル構造
      • 不均一歪
      • 粒成長抑制
      • 温度特性
  3. Ni内部電極MLCC対応のBT材料設計
    1. 酸化物の酸化、還元の熱力学
      • 平衡酸素分圧
      • 化学平衡
      • ギブス生成自由エネルギー
      • エリンガム図
    2. BTの酸素空孔生成
      • Kroger-Vink欠陥表記
      • 酸素空孔
      • 欠陥反応式
      • Brouwer図
    3. BTの酸素空孔生成の制御
      • アクセプター元素
      • サイト
      • 化学量論比
      • 異種元素置換
    4. BTの酸素空孔移動の制御
      • ドナー元素
      • 欠陥の会合
      • 信頼性
    5. 粒界の役割
      • 粒界の構造
      • 酸素空孔の拡散
      • 元素の偏析
      • 粒界数
  4. BTセラミックスの長期信頼性
    1. 酸化物の電気伝導
      • 電子性電気伝導
      • バンド伝導
      • オーム則
      • バンドギャップ
      • ホッピング伝導
    2. 高電界での電気伝導
      • チャイルド則
      • 空間電荷制限電流
      • プールフレンケル放出電流
      • ショットキー
      • 放出電流
    3. イオン性電気伝導
      • 活性化エネルギー
      • 輸率
    4. 酸素空孔移動の分析例
      • 機器分析
      • シミュレーション
    5. MLCCの摩耗故障と加速性
      • アレニウスプロット
      • 加速評価
      • 温度加速
      • 電圧加速
  5. MLCCの製造プロセス
    1. 製造工程の概要
    2. シート成形工程、主にスラリー組成の設計およびスラリー製造技術
      • バインダー
      • 分散剤
      • 可塑剤
      • 乾燥収縮
      • PVC
    3. 内部電極工程、主にその焼結性
      • Niペースト組成
      • 収縮挙動
      • 共素地
      • 電極組成
    4. MLCCの焼成工程、主に焼成雰囲気制御とBT酸素空孔制御
      • バインダーの熱分解
      • 雰囲気制御
      • 残留炭素
      • アニール
      • ホール生成
    5. MLCCの信頼性
      • 機械的強度
      • 割れ
      • デラミ
      • 試験項目
      • 初期故障
      • 摩耗故障
    6. 故障解析
      • 非破壊故障解析
      • 破壊故障解析
      • DPA
      • マイクロプロービング
      • 電解剥離
  6. MLCCの技術動向
    1. 小型、大容量化
    2. IoT、5Gへの対応、低ESR化、低ESL化
      • 5G化の動向
      • LW逆転
      • 3端子
      • 多端子
    3. 車載に向けた高圧、高温化
      • 市場動向
      • 車載規格 (AEC-Q200)
      • 信頼性データ
      • 中高圧設計
      • 高温対策
      • 温度補償系材料

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