畑村洋太郎先生の「失敗学のすすめ」エピローグには以下の記述がある。 (以下抜粋)
「最大効率をお題目に、こうやればどうなるという仮想演習さえ禁じて、関連するはずの他部署の仕事の中身もまったく教えず、全体システムの中でそれぞれの関係の脈絡を断ち切ってきたのが、日本企業の典型的な管理手法でした。このやり方で、作業者を思考停止状態に陥れた挙げ句、失敗が起こった時の言い訳が「思いもよらなかった」「予測できなかった」の決まり文句です。「思いもよらなく」「予測できなく」させているのは何なのか、もう一度深く考えるべきです。」
「日本は明治維新以来、先行する欧米に追随し、これをマネすることを良しとしてきました。その成果として目覚ましい発展を遂げることは出来ましたが、一方で、独自の文化、文明をつくる創造性を育む努力を怠ったために、これ (注釈:独自の文化) を欠落させたことも否めません。」
本稿では、この「失敗学」の基本である「品質リスクマネジメント」の考え方で、品質文化 (Quality Culture) を醸成することが重要であるという認識から、具体的に化粧品の品質保証にどう活用するかを議論する。
- はじめに
- 何故今品質文化 (Quality Culture) なのか
- Quality Cultureの重要性
- 日本品質管理学会からの提言
- 相次ぐ医薬品業界の不祥事
- 75品目自主回収医薬品大手「日医工」に業務停止命令へ
- 小林化工の自主回収事例
- 薬機法改正で法令順守が求められるように
- 化粧品業界の実態
- 製品の自主回収事例
- 製品クレームの内容分析
- 化粧品の製造販売における制約条件
- 化粧品の規制概要
- 薬事法での化粧品の位置づけ
- 化粧品製造販売業者の要件
- 化粧品GQP
- 化粧品GVP
- 化粧品の品質保証とは
- ICH Qトリオの連接
- PQSを用いた継続改善モデル
- FDAが推奨するバリデーションステップ
- 再発防止 (是正措置) と未然防止 (CAPA) とは
- 再発防止と未然防止
- 失敗学と品質リスクマネジメント
- 技術者の心得と社会の役割
- 品質リスクマネジメントの難しさ
- 品質リスクマネジメントのフレームワーク
- 失敗学を用いた未然防止
- 失敗学とは
- 失敗学のフレームワーク
- 事例に学ぶ失敗学
- 何故O/Wクリームが微生物汚染して市場クレームになったか
- 何故容器凹みが発生して市場クレームになったか
- 雪印の集団食中毒の事例研究
- 小林化工の薬事法違反事例研究
- 問題解決はQCストーリーで
- データの採り方・まとめ方
- データの見える化・グラフ化
- 問題解決のためのQCストーリー
- 新製品の作り込みは品質工学で
- 品質工学の戦略
- パラメータ設計の概要
- SN比とその計算手順 (望目特性のSN比)
- 動特性のSN比 (ゼロ点比例式)
- パラメータ設計の具体例
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