あらゆる細胞種でゲノムDNA配列の自在な改変を可能にするゲノム編集技術は、基礎研究から医療・産業にいたるまで、広汎な分野での応用が推進されています。私は留学先でiPS細胞のゲノム編集による心疾患モデルの作製を目標に研究を始め、帰国までにCRISPSR-Cas9の爆発的発展を目の当たりにし、ゲノム編集研究の熾烈な競争を繰り広げる研究者達と間近で接することができました。
このセミナーでは、ゲノム編集の歴史と基礎から最新技術、その応用までを、私が実際に見てきたことも含めてわかりやすくお話しします。私のテーマであるiPS細胞のゲノム編集と、デジタルPCRによるゲノム編集結果の検出についても紹介します。
- ゲノム編集の原理と歴史
- ゲノム編集の原理
- 前ゲノム編集時代1:遺伝子ターゲティング
- 前ゲノム編集時代2:トランスジェニック技術
- ゲノム編集とは
- Non- Homologous End-Joining (NHEJ) /非相同末端結合
- Homologous Recombination (HR) /相同組換え
- Microhomology-Mediated End Joining (MMEJ) /マイクロホモロジー媒介末端結合
- ゲノム編集の前CRISPR-Cas9史
- メガヌクレアーゼ時代
- Zinc Finger Nuclease (ZFN) 時代
- Transcription Activator-Like Effector Nuclease (TALEN) 時代
- CRISPR-Cas9時代の到来
- CRISPR-Cas9とは
- CRISPR-Cas9発見の歴史
- CRISPR-Cas9の特長
- ゲノム編集ツールの比較
- ゲノム編集の最先端技術
- ゲノムを編集するために
- Cas9 Nickase:DNA二重鎖の片方だけを切断する
- FokI-dCas9:CRISPR-Cas9とZFN/TALENとのあいのこ
- PAM改変Cas9:標的にできる配列の種類を増やす
- saCas9とcjCas9:生体ゲノム編集を目指す小型のCas9
- 分割Cas9:ゲノム編集の時間的調節と特異性の向上
- 非特異的な変異の導入を軽減する高精度Cas9改変体
- デアミナーゼ融合Cas9:DNAを切断せずにゲノムを編集する
- Prime Editing:DNAを切断せずに逆転写酵素を使ってゲノムを編集する
- anti-CRISPR:自然界に存在するCRISPR-Cas9の阻害分子
- CRISPR-Cas12a (Cpf1) :Cas9ではないCRISPR
- 広がるCRISPR-Casシステムのレパートリー
- ゲノム編集以外の目的のために
- CRISPRi:遺伝子の発現抑制
- CRISPRa:遺伝子の発現活性化
- GFP融合Cas9:ゲノムDNAの配列特異的可視化
- エピゲノムエフェクター融合Cas9:エピゲノム編集
- CRISPR-Cas13a (C2C2) :RNAを標的とするCRISPR
- ゲノム編集技術の応用
- 動植物・生体への応用
- 遺伝子改変モデル生物の作製
- 遺伝子改変畜産動物の作製
- 遺伝子改変農作物の作製
- Gene Drive:生物集団を遺伝的に制御
- 細胞系譜の追跡:細胞が分裂して増えてきた歴史を辿る
- データを生きた細菌のゲノムに記録する
- 微量のウイルスの検出
- ヒト受精卵のゲノム編集:倫理と今後の課題
- iPS細胞による疾患モデルへの応用
- これまでのiPS細胞による疾患モデルの課題
- 心臓疾患モデル
- ダウン症モデル
- iPS細胞による細胞移植治療への応用
- iPS細胞による細胞移植治療の課題と取り組み
- 標的疾患:肝臓疾患、眼疾患、心疾患、神経疾患など
- 細胞移植治療をめぐる状況
- 生体内・外ゲノム編集の応用
- モデル生物の問題点
- HIV治療
- 筋ジストロフィー治療
- 腫瘍免疫によるガン治療
- 血液疾患などその他の疾患の治療
- デジタルPCRによるゲノム編集結果の検出と応用 (講師自身の研究成果)
- デジタルPCRによるゲノム編集結果の検出
- デジタルPCRとは:第3世代のPCR
- デジタルPCRによるゲノム編集結果の検出
- 一塩基置換を持つiPS細胞の選択マーカーを用いない単離
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