1990年代半ば、トヨタ生産方式を施行錯誤するなかでセル生産と呼ばれる方式が家電業界で誕生しました。当時はバブル経済後に金融引き締めが行われたことから企業は生産拠点を海外に求め、顧客は多様化・細分化の傾向を追い求め、少子化による労働力の不足の懸念が始まっていました。多品種で生産数量の変動は現在も続いています。セル生産誕生からから四半世紀を超えましたが、その思想は様々な業種で受け継がれて発展してきました。仕事を細分化し多数の人が関わって一つの製品をつくるよりは、一人当たりの作業数を増やし少ない人数で生産する方が生産性も品質も向上できました。やらされ感からの脱却が強い押し力であり、雇用が正規・非正規の雇用形態とは無関係でした。会社の設立趣意書に「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由豁達にして愉快なる理想工場の建設」と書いた創業者の“人間の能力を最大限活かす”という想いは、セル生産で実現されたと言えます。理想の工場は時代と共に変化するでしょうが、大規模なラインよりは、小規模能力のラインで生産性や投資効率向上を果たす原点は変わりありません。小規模にすることでの課題は、いかに安価で小型の道具、治具、設備を実現するかです。市場変化の激しい市場においては、迅速に生産能力を増やしたり減らしたりすることが可能なラインつくりが必要です。今ではSDGsや脱炭素社会といった取り組みが避けて通れません。旧来通りの巨大戦艦的な自動化を行っては、投資回収が難しい状況に陥るでしょう。セル生産方式の思想を受け継いだ投資効率のよい設備の自動化をするべきと考えます。
本講座では、そのために必要な知識や小規模ラインの展開方法について講師の経験と持論を紹介致します。
- セル生産が生まれた背景
- 家電業界から誕生したセル生産
- セル (細胞) は良化・悪化・変異もある
- 大規模投資のリスクを避ける
- 少ない人数で生産性も品質も向上
- セル生産の理解に必要な改善手法
- 技術者にIE的手法が必要な理由
- ムダを発見する方法
- 標準時間を読む方法
- 人と機械の役割を分析・最適化する方法
- セル生産の問題解決への設備の取り組み
- 現場に見合う7つの着眼点
- 現場的な取り組み事例
- 安心をもたらすポカヨケ
- 現場を動かす情報の自動化
- つくり方の創意工夫は競争優位に
- セル生産から次の課題解決在り方を考える
- 小規模自動化ライン
- 集中より分散展開
- 取り組み事例
- セル生産を設備で実現できる人材の育成
- 人材育成の
- 現場の技術者に向けて
- 結び
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