第1部 NMRによる高分子分析のための前処理と一次構造解析
(2022年3月16日 10:30〜12:00)
- 粉砕
- 分離
- 抽出・濾過
- 溶解再沈
- クロマトグラフィー
- 反応
- 分解
- 誘導体化
- 前処理における注意点
- 高分子の一次構造解析
- 共重合比率
- 末端基構造
- 立体規則性
- 共重合連鎖分布
第2部 パルスNMRによる高分子の分子運動性解析
(2022年3月16日 13:00〜14:30)
パルスNMRはNMRの一種であるが、一般的な高磁場・高分解能のNMRのように、化学シフト情報より化学構造を決めるのではなく、緩和時間測定により試料中の分子の運動性を評価することで、主に試料の物性情報を得る手法である。一方で、結晶性の樹脂であれば結晶部と非晶部について、エポキシ樹脂のような硬化性の樹脂であれば、架橋部と非架橋部についての情報がそれぞれ得られるため、結晶化度や架橋度のような構造解析的な検討も可能である。また、10mmφ程度のNMR管内に試料が封入できれば測定が可能であるため、非常に簡易に測定できる手法である。
パルスNMRでは、分子運動性が低い固体のような状態の試料ではSolid Echo法、運動性が高い液体のような状態の試料ではCarr Purcell Meiboon Gill (CPMG) 法といったように、試料の状態によって異なる測定手法を使い分ける。それにより、固体から液体まで様々な試料を測定することが可能であり、溶融状態のポリマーや未架橋状態の架橋樹脂など様々なポリマーについて測定ができる。また、温度変化と組み合わせることで熱硬化性樹脂の反応追跡なども可能である。
本講では、パルスNMRを用いてポリマーの分子運動性解析を行った例について紹介する。
- 結晶性樹脂の分子運動性解析
- 架橋樹脂の分子運動性解析
- 架橋度評価
- 架橋反応による架橋点の経時変化の評価
- 感温性ゲルのゲル化挙動解析
第3部 溶液NMR法によるポリマーの構造解析
(2022年3月16日 14:45〜16:45)
合成高分子の構造を溶液NMRで解析・評価する手法について、具体例を挙げながら紹介する。溶液NMR法は、高分子の一次構造・化学構造の解析に有用であると広く認識されているが、高分子固体の凝集高次構造・物性の評価に適用できる場合があることも紹介します。
- 溶液NMR法による構造解析を始めるにあたって
- 合成高分子の一次・高次構造を整理する
- 合成高分子と天然高分子の違い
- 溶液NMR法の利点と欠点
- 測定試料の調製で気をつけたいこと
- 測定条件を設定する上で知っておきたいこと
- 構造解析の実際
- 末端基定量法で分子量を調べる
- DOSY法で分子量・分布を調べる
- 立体規則性を調べる
- 共重合体組成を調べる
- 多変量解析を応用する
- 溶液ではない試料を溶液NMR法で調べる
~ 共存気体のNMRスペクトルから間接的に凝集高次構造を評価する ~
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