唇は、肌に比べて角層が薄く無防備で、感触が敏感でありながら、動きが激しく、食器など他の物質との接触が多い。つまりそこに塗布をする口唇化粧品は肌用化粧品とは異なった性能が求められる。
本講演では、唇の生理、触感、物性に基づいた化粧品設計に必要な因子と、化粧品の性能評価や数値化技術について、特に肌用化粧品との比較の観点から解説をおこなう。また、唇用化粧品の基剤である油性ゲルについて、その物性制御技術と品質トラブルの原因についても説明をする。
- 唇の生理と触感
- 唇と肌の差異
- 唇のトラブルの原因と抑制方法
- 口唇化粧料 (口紅、リップクリーム、リップグロス) の設計思想
- 口唇化粧料の設計と物性制御
- オイルゲルの種類とそのゲル化機構
- ゲルのミクロ構造と硬度の発現機構
- オイルの違いによる性能差の発現
- オイルゲルの選定。ワックスを用いるか網状ゲル化剤を用いるか。
- オイルゲルの硬度調整技術
- オイル極性による調整
- ゲル化剤の種類による調整
- ゲル化剤を併用する場合の課題
- 経時での物性変化と抑制方法
- 経時での硬度変化
- 製造法による物性の変化
- 発汗 (オイル分離) 、ブルーミング (結晶析出)
- 塗布つやの向上技術
- 持続性向上、色移り向上技術
- 水分ゲル化系と皮膜・ブリード系の長所と短所
- 今後望まれる色持続技術
- 口唇化粧料の感触評価と数値化
- オイルゲルの物性の数値化
- 硬さやつきの評価
- つやや色の評価
- 口唇化粧料を対象とするレオロジー測定の問題点
- 唇上での感触評価と数値化
- 感触評価からみた、口唇化粧品と肌用化粧品との差異
- 口唇化粧料の物性評価の課題と今後の展開