近年、製薬企業によるリアルワールドデータ (RWD) 活用が注目されているものの、積極的に活用を推し進めている企業と、活用の検討段階にある企業との、二極化が進んでいるようである。また、RWDはバズワードのように、定義や範囲が定まらないまま乱用されることがあり、立場によって異なる定義と、それぞれのデータの強みと弱みを適切に理解する必要がある。現時点での日本の製薬企業におけるRWD活用は、レセプトやDPCデータなどの医療ビッグデータを用いたデータベース研究と論文化が主流である。しかし、海外では次のパラダイム、すなわち新薬承認申請の意思決定に、電子カルテのテキストデータや患者レジストリからRWDから得られるエビデンス (リアルワールドエビデンス、RWE) が使用される事例が蓄積している。
本講演では、現時点で活用可能なRWDの種類や特性、製薬会社が活用できうるアプローチについて概説し、その事例および将来予測について考察する。
- リアルワールドデータの概説
- 活用できるリアルワールドデータの種類、特徴
- アカデミア、規制側、製薬企業から見たリアルワールドデータ
- 製薬企業によるリアルワールドデータ活用のトレンド
- 医療ビッグデータの概要と使用事例
- レセプトデータの概説 (特性、活用トレンドと使用事例)
- DPCデータの概説 (特性、活用トレンドと使用事例)
- 電子カルテデータの種類、概要と使用事例
- リアルワールドデータの臨床開発への応用可能性
- 国内外の規制動向
- RWDを開発に応用する際の強みと限界
- レジストリの概要と開発への活用アプローチ
- 日本、米国におけるRWDの承認申請への活用事例
- 今後の展望と課題
- 欧米と日本での、RWDの将来への適用範囲拡大に向けての課題
- 医療ビッグデータの質はどこまで高められるか
- 製薬企業がレジストリへアクセスするための課題
- デジタル/ウェアラブル機器によって何が起こるか (Virtual Clinical Trialなど)
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