2009年から2011年の3年間で、Netflixが2500万と大幅に加入者を増やした。インターネットの30%の情報量を民間企業1社が使用することに、通信業界とケーブル業界は驚愕した。 ケーブル会社と衛星会社は、自社のビデオサービスの加入者が電話会社との競合で減少している上、「コード・カッティング」でさらに減少することを恐れ、直ちにIPでの放送を含めて対策を実施した。 蓋を開けてみると、PayTVチャンネルの加入者数は大きく減少し、この問題への対応が始まった。先陣を切ったのは「HBO GO」である。顧客は自宅でも屋外でも、全米どこに居ても家庭で見ていたHBO番組を見ることができるようになった。この対応により、各社がこぞって同じような家庭外視聴可能な仕組みを導入した。 また、もう一つの大きな対応策としてリニアチャンネルの家庭内IP放送が始まった。オペレータは通常のQAM放送+IP放送の二重投資を強いられたが、顧客つなぎ止めのための緊急対策として実施した。これは、投資だけでなく新たなビジネス機会を生み出すことになった。この新しい取組みは、4つのスクリーン対応に費用がかかるだけでなく、それぞれの特質を生かしながら、相互連携による新しい4スクリーンライフの実験として、本格導入に向け検討が進んでいる。 本講演が、これらの新しい潮流をご紹介することにより、日本の放送メディア、通信業界の将来対応の一助となれば幸いである。