2021年の正月早々発覚した世界的な半導体不足は、その後より深刻化し、クルマや各種電子機器がつくれない状態が続いている。そのため世界中の半導体工場がフル稼働で大増産を行うとともに、狂気的な設備投資が始まった。TSMCが3年間で約11兆円、サムスン電子とSK hynixが10年間で約50兆円、インテルが3年間で約2.7兆円に加えて10年間で欧州に約10兆円を投資する。そして、米国、中国、韓国、欧州、日本が、国策で自国内の半導体製造の供給網を強化しようと躍起になっている。これは、消費者の市場ニーズを無視した、各企業と国のメンツをかけた不毛な投資合戦である。その結果、2021年だけで12兆円が投資され、29工場が着工されており、その工場が稼働する2023~24年頃には、供給が需要を遥かに上回り、価格大暴落が起きて半導体業界が大不況に突入するだろう。その有様は、ハーメルンの笛吹きに踊らされて一斉に断崖絶壁に向かって走り出したネズミたちを髣髴とする。
本セミナーでは、業界関係者がこの狂気的な過剰投資にどう対処するべきかを論じる。最後に、TSMCが日本に新工場を建設することの影響と懸念について言及したい。
- はじめに
- 自己紹介
- 本セミナーの概要と結論
- 深刻化する半導体不足
- 世界的な半導体不足の原因
- 世界中のクルマメーカーが減産
- アップルの新型iPhoneも半導体不足で発売が遅延
- ニューノーマルの定着でコンシューマー向け半導体不足が加速
- 世界半導体市場と製造装置市場
- 過去最高を記録する半導体市場と製造装置市場
- 2000年のITバブル時で規格化した半導体市場と装置市場の分析
- 各種の製造装置市場の分析
- 世界中の半導体工場がフル稼働で大増産
- 過去最高を記録し続ける世界半導体出荷額と出荷個数
- 地域別半導体市場でアジア、中国、米国が過去最高を記録
- 種類別半導体市場でロジック、プロセッサ、アナログが過去最高
- コンシューマー用ASIC市場の拡大が続く
- 過去のスーパーサイクルとは事情が違うメモリ市場
- DRAMの出荷額、出荷個数、価格の分析
- NANDの出荷額、出荷個数、価格の分析
- NOR市場が急激に拡大
- 世界最先端の微細化を独走するTSMCの状況
- TSMCの7nm、5nm、3nm、2nmの状況
- レガシーな0.5μmから最先端の5nmまで全てを量産
- ファンドリ分野で過半を超える圧倒的なシェア
- 今後3年間で11兆円を投資
- 驚愕の韓国「K半導体ベルト」構想
- 韓国内にメモリ、ファブレス、ファンドリ、装置・部素材の拠点を形成
- 韓国政府が世界最強かつ最先端の半導体立国を全面支援
- SamsungはVision2030を掲げて10年間で約40兆円を投資
- インテルのNAND事業を買収するSK hynixも10年間で12兆円を投資
- CEOが交代したインテルの逆襲
- インテルはどこで躓いたのか?
- 新CEOの元でインテルの逆襲が始まる
- インテルの新しいロードマップ
- TSMCを招致する米国政府は5.7兆円の補助金で国内の半導体製造を強化
- 「中国製造2025」のその後
- SMICが1兆円を投資して新工場を建設
- 紫光集団が経営破綻した影響
- 中国の大規模な停電の被害
- 「中国製造2025」の行方
- 欧州も半導体製造の強化に動く
- 欧州半導体法「European Chips Act」を策定へ
- 欧州がTSMCの誘致に動く
- EU加盟国17か国が今後数年で約18兆円を投資して2nmを量産へ
- インフィニオンがパワー半導体の12インチ工場稼働へ
- 日本がTSMCを誘致
- TSMCがつくばに後工程の研究開発拠点を設立
- TSMCとソニーが熊本に新工場を建設
- なぜTSMCが日本に新工場をつくることになったのか?
- 世界半導体過剰投資の行方
- ハーメルンの笛吹きに踊らされるネズミたち
- 過剰投資の行方に待ち構える断崖絶壁
- その後にやってくる半導体価格大暴落と大不況
- 半導体、装置 (部品と設備) 、材料メーカーへの警告
複数名受講割引
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