撥水・撥油表面の設計とぬれ性の評価

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プログラム

第1部 固体表面で起こるぬれ現象の基礎と撥水・撥油性付与技術への応用

(2021年12月9日 10:00〜11:30, 12:20〜13:40)

 本セミナーでは、我々に身近な物理化学現象である“ぬれ”に関する基礎的な知識と、固体表面のぬれ性をいかに制御し評価するかについての実践的な知識の修得を目指す。特に、液体の滑落性の良し悪しを決める指標として最近注目されている“動的ぬれ性”についての理解を深める。  さらに、最新の超撥水/撥油性処理技術の国内外の研究開発動向と、演者らが取り組んでいる実用的な撥水/撥油処理技術について、その設計指針と得られる機能について実例 (単分子膜、ゲル、 ポリマーブラシ、ハイブリッド皮膜等) を挙げながら分かりやすく詳細に解説する。

  1. ぬれの基礎とこれまでの評価方法の問題点
    1. Youngの式
    2. 表面張力の定義
    3. 表面自由エネルギーとは?
    4. Cassieの式 (凹凸表面におけるぬれ)
    5. Wenzelの式 (複合表面におけるぬれ)
    6. CassieとWenzelの式は本当に正しいのか?
    7. 既存理論を否定する研究事例
    8. 3相接触線の重要性
    9. これまでのぬれ性評価法とその問題点
    10. 静的接触角
  2. 動的ぬれ性の考え方と測定・制御方法
    1. 動的ぬれ性とは?
    2. 動的ぬれ性制御の重要性
    3. 動的接触角
    4. 動的接触角の測定方法
    5. 接触角ヒステリシス
    6. 自然界における高/低接触角ヒステリシス表面
    7. 接触角ヒステリシス制御に関する過去の研究
    8. 接触角ヒステリシスを抑制するためのコンセプト
    9. 接触角ヒステリシスと滑落性の関係と応用事例
  3. (超) 撥水/撥油処理の国内外の最新研究開発動向
    1. (超) 撥水/撥油性を得るための設計指針
    2. これまでの (超) 撥水/撥油性表面の問題点・課題
    3. 最近の (超) 撥水/撥油性の定義
    4. (超) 撥水/撥油処理の最新研究開発動向
  4. 液体の滑落性を向上させるための設計指針と研究事例
    1. 単分子膜の作製方法とその特徴
    2. ポリマー皮膜/ポリマーブラシの作製方法とその特徴
    3. 有機-無機ハイブリッド皮膜の作製方法とその特徴
    4. 離漿ゲルの作製方法とその特徴
  5. 最近のトピックス、まとめ、質疑応答

第2部 微細構造による撥水・滑水性表面の創製

(2021年12月9日 13:50〜15:20)

 撥水・滑水性表面はその応用が様々に期待されている。実際に応用されているものもあるが、滑水性を付与できるとさらに応用が広がると考えられる。  本講座では、微細構造付与による撥水・滑水性表面の開発事例について紹介し、また、その新たな評価方法についても紹介する。

  1. 撥水性と滑水性について
    1. 撥水性の評価方法について
    2. 滑水性の評価方法について
    3. 撥水性と滑水性が期待されるニーズについて
  2. 撥水性と滑水性表面の開発について
    1. 微細構造を付与することによる表面機能の制御について
    2. 国内外の撥水・滑水性表面の研究動向について
    3. 撥水・滑水性表面の開発の経緯について
    4. 微細構造の付与方法について
    5. 微細構造の付与による撥水・滑水性表面の開発事例について
    6. 微細構造の付与と材料選定による撥水・滑水性表面の開発事例について
    7. 新たな撥水性・滑水性の評価方法の提案
  3. まとめと産業的応用への今後の展望について

第3部 撥水・撥油性を示すフッ素系高分子コーティング剤の基礎とその用途展開

(2021年12月9日 15:30〜17:00)

 フッ素系高分子コーティング剤は、その特徴ある性能から様々な用途に使用されている。  本講演では、撥水・撥油性を示すフッ素系高分子の代表であるフルオロアルキル (メタ) アクリレート系高分子の撥水・撥油性の向上検討事例とその知見を基にした用途展開事例を中心に解説する。

  1. はじめに
    1. フッ素系化合物の特性
    2. フッ素系高分子の表面特性
  2. フルオロアルキル (メタ) アクリレート系高分子の撥水・撥油性
    1. 動的撥水・撥油性の重要性
    2. 種々の材料設計による撥水・撥油性の向上検討
    3. 用途展開の事例紹介
  3. 化学的性能と物理的性能の融合による撥水・撥油性
    1. 化学的アプローチによる撥水・撥油性の限界と物理的アプローチの課題
    2. 耐摩耗性を向上させた超撥水コーティングの開発
    3. 用途展開の事例紹介
  4. 撥水・撥油性のメカニズム解明に有用な分析手法
  5. まとめ

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