日系自動車メーカーはコスト圧力の高まりや理不尽なほどの円高に喘いでいる。一方で日本政府からはFTAに参加する方向が示されており、貿易の更なる活性化が想定される。このような状況下、日本の自動車生産市場としての規模は今後、縮小していく見込みである。 日系部品メーカーは従来、ケイレツ完成車メーカーの海外展開に合わせて現地に進出してきたが、その完成車メーカーは昨今、中国をはじめとする新興国の現地部品メーカーから調達する意向を強めている。 一方で中国は世界一の市場にまで上りつめ、いまやその規模は1700万台に達する。この中で、自主ブランドを含めた中国系自動車メーカーは力をつけてきており、実際シェアも伸ばしている。 つまり、日系部品メーカーには中国系完成車メーカーの開拓によって、まだまだ成長できる余地が存在している。しかし、日系部品メーカーが自力で開拓するには様々な困難もある。そこでよい中国パートナーを見つけ、健全な関係を築き、継続していくことが重要となる。 そこで本講では、日系部品メーカーに焦点を当て、中国パートナーと組んで中国系完成車メーカーを攻略することで広がる世界を提示した上で、その実現に向けて重要となるパートナーの選定、提携形態、コミュニケーション、技術・情報のリスク管理などについて、事例やインタビュー内容を交えながら解説し、今後のグローバル展開に向けた示唆を導き出す。