セルロースナノファイバーの複合化、配向制御と分散安定化技術

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本セミナーでは、セルロースナノファイバー研究の第一人者達が分散、複合化、応用事例について解説いたします。

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プログラム

第1部 TEMPO酸化セルロースナノファイバーの基本特性と複合化技術

(2021年10月25日 10:30〜11:30)

 セルロースナノファイバー (CNF) の量産体制も整い、機能用途を中心に商品化にいたる事例も出てきました。演者らは、TEMPO酸化法と呼ばれるCNF生産プロセスを世界に先駆けて開発しています。  本講座では、TEMPO酸化CNFの精密構造と固有特性を概説したのち、フィルムやエアロゲル等のCNF集積体の形成と物性へと進み、樹脂等との複合化および理想的な補強に要する界面構造などに関する最新の研究事例を順次解説していきます。

  1. TEMPO酸化CNFの基本特性
    1. CNF1本の精密構造:結晶性、表面官能基と欠陥の分布
    2. CNF分散体の自己組織化、液晶相の形成
    3. フィルム (透明な紙)
      1. フィルムの基本特性
      2. 成膜プロセスとナノ構造及び物性との相関
      3. 厚みのある透明板材への展開、高強度・熱的異方性・耐水性・難燃性
    4. エアロゲル (透明な断熱材)
      1. エアロゲルの基本特性
      2. 蒸発乾燥によるエアロゲル形成、高強度・自己消火性
      3. 凍結乾燥によるエアロゲル形成、透明性・断熱性
  2. 複合化:界面構造と相互作用の制御
    1. プラスチックとの均一複合化、理想的な補強に要する界面構造、界面の厚みと密度
    2. プラスチック複合化の最新動向、Pickeringエマルションの活用
    3. 無機ナノ粒子との複合化、機能性の発現、担体としてのポテンシャル
    4. その他の複合化事例

第2部 ナノ繊維配向制御によるセルロース単繊維の高強度・高靭化

(2021年10月25日 12:30〜13:30)

 電場および流れ場を用いたセルロースナノファイバーの配向制御法およびセルロース単繊維の創製法について解説する。さらに、セルロースの光学特性を利用したナノ繊維の配向評価法やナノ繊維配向に関する数値シミュレーショ手法について詳細に述べる。

  1. 交流電場に対するセルロース微小繊維の応答性
    1. 微小繊維の動的挙動の可視化
    2. 電場印加による繊維配向特性
  2. 流動下でのセルロースナノファイバーの静電配向に関する数値シミュレーション
    1. 基礎方程式
    2. 繊維の誘電分極モデル
    3. セルロースナノファイバーの配向メカニズム
    4. 繊維長が繊維配向に与える影響
  3. 流れ場と交流電場を組み合わせたセルロースナノファイバー配向制御による単繊維創製法
    1. 交流電場印加型フローフォーカシング装置
    2. ナノ繊維配向制御によるセルロース単繊維の材料特性向上

第3部 セルロースナノファイバー (CNF) 複合材料の開発

(2021年10月25日 13:45〜14:45)

 セルロースをナノレベルに解繊したセルロースナノファイバー (CNF) をPP中に均一分散させることは容易ではなく、現時点で大きな技術課題となっています。  当研究室では、複合材料設計において必須添加剤である無水マレイン酸変性PP (MAPP) に着目し、CNFの分散性向上に適したMAPPの設計およびCNF/MAPP複合化プロセスの開発を行ってきました。CNFを樹脂中に均一分散させることで網目状構造を形成させ、軽量、高強度以外のCNFの特長をPP系複合材料で発現させることを目指しております。本講演では、研究内容や機能の事例について御紹介します。CNFのみならずPP系複合材料開発全般に通ずる内容であり、フィラー界面と樹脂とを如何に馴染ませるかについて説明させていただきます。

  1. 新素材CNFへの期待と現状」
    1. 「バイオエコノミー」、「海洋プラスチック問題」
    2. CNFの特徴と産業への利用
  2. CNF製品の社会実装向けた課題と課題解決へのアプローチ」
    1. 「技術的課題」と「ビジネス的課題」
    2. 「樹脂添加剤」としての展開
    3. 「静岡レシピ」と「Cellmapp」
    4. CNF分散観察例
    5. 技術の応用展開分野

第4部 添加剤によるセルロースナノファイバーと樹脂コンパウンドの分散安定化と脱泡・脱臭

(2021年10月25日 15:00〜16:00)

 セルロースナノファイバー (CNF) は親水性基を持ち、分子間の相互作用が強く、水中での分散安定化するも高粘度になりがちである。また相対的に低極性であるプラステック材料への混合にも困難が伴う。  本講座では、基本となる粒子の液中での分散安定化のメカニズムと、湿潤分散剤の構造と特徴を解説する。またスラリー作成時の泡や濡れの課題について、表面調整剤や消泡剤による解決方法を紹介する。またCNFのコンパウンド製造で懸念される、臭い・VOC成分の生成物での残留を少なくするため、プロセス中での揮発・排気を促進する添加剤について紹介する。

  1. セルロースナノファイバーなど粒子・フィラーの分散安定化
    1. 基本となるディスパ – ジョン安定化のメカニズム
    2. 主な湿潤分散剤の構造と選定のポイント
  2. フィラーの濡れと表面張力
    1. 表面張力の調整による濡れの促進
    2. 表面調整剤の構造と表面張力を上げる新たな添加剤の構造と特徴
  3. CNFディスパ – ジョンの設計とプラステックへの添加
    1. ワックス系添加剤と無水マレイン酸グラフト変性の添加剤の特徴
    2. 消泡剤・脱泡剤の作用機構と使い方
  4. コンパウンド製造プロセス中の脱泡と添加剤
    1. VOC・臭気の排出を促進し、残留を低減する添加剤

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