第1部 リチウムイオン電池の劣化解析 (劣化部材の推定と対策)
(2021年10月28日 10:30〜14:30) ※途中、お昼休憩含む
充電と放電を繰り返すとリチウムイオン電池の容量は徐々に減少する。意図しない副反応の進行など、様々な要因によって電池の容量は減少する。多くの場合、電池の安全性もこの容量低下に伴って損なわれてしまう。現在、リチウムイオン電池の用途は、二酸化炭素の排出量削減を背景に、従来の小型電子機器から電気自動車に代表される大型機器へ積極的に展開されており、これまで以上に長期の安定性や信頼性の確保が要求されている。
本講演では、電池を構成する各部材がどのように劣化し、安全性を含めた電池の特性に影響を及ぼすかを解説する。劣化の原因を正しく捉えるための各種分析手法や具体的な劣化対策についても言及する。
- リチウムイオン電池の基礎
- リチウムイオン電池とは
- 電池の構成部材と機能
- 充放電反応
- 電池の劣化とは
- 電極の劣化
- 電極構造の変化
- 電極材料の変性
- 被膜の形成
- 電解液の劣化
- 電解液の分解
- 溶媒、塩の選択
- 添加剤の役割
- その他部材の劣化
- セパレータの劣化
- 集電体の劣化
- 劣化機構の解明と対策
- 電極活物質の設計
- バインダーの検討
- 平衡論と速度論
- 容量バランス
- 内部短絡
- 固体電解質の応用と課題
- まとめ
第2部 安全なリチウムイオン電池の設計、製造と評価
(2021年10月28日 14:45〜16:45)
第2部においては、第1部で示された最近の電池材料技術を背景に、電池の設計、製造と評価の問題を扱う。リチウムイオン電池は正・負極材と電解液・電解質の電気化学的な合理性の上で設計し運用されなければならない。更にはサイクル劣化と過充電や過放電のリスクに対して安全性マージンをある程度取った製造技術が求められる。
安全性は電池の用途分野毎に、JIS、UN,ULやISOなどの公的な規格をクリアしなければ、工業製品としての安全性は認められない。この項はかなり膨大になるが、上記の基本を踏まえて、要点を紹介する。
最後にまとめとして、今後の脱炭素のスキームの中で、もはや電解液系電池では限界がある安全性を、全固体リチウムイオン電池の観点から簡単に紹介したい。
- リチウムイオン電池の基本構成と安全性確保
- 基本用語と範囲
- 電池の用途拡大と発火事故の経緯
- 電池 (セル) の構成、構造と基本特性
- 電気化学的な要件と安全性
- セル設計と製造工程
- 安全性維持の要件 (列記)
- 参考資料 (正負極材、電解液ほか)
- 安全性規格と試験の概要
- 測定規格と安全性規格 (規格の役割分担)
- 内外の規格一覧と試験対象 (セル、モジュールとシステム)
- 安全性試験の想定域と過酷度
- 安全性要求事項 (合否判定)
- 参考資料1 (電池のAh容量と応用分野ほか)
- 参考資料2 (安全性試験チャート、過充電ほか)
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