本セミナーは、そのタイトルから受け取るイメージや一般的な認識は、現時点ではかなり統一されていると思われる。ほんの一年前に、突然顕在化した新型ウイルスの感染拡大と、その後の各国の対応や“国や都市のロックダウン”。次々に打ち消される楽観的な見通し…。種々の問題が否定出来ずに、逃げることも出来ずに、受入れざるを得ない状況は、経済社会に対してもある種の諦観を強いた。やはりCO2と地球環境破壊、良いの悪いのと言って、考えている場合ではない、丸呑みしようと受け入れた。
講演者はこの30年余り、リチウムイオン電池の材料開発と大型電池の設計・製造に携わって来た。最近の10年では、電池 (セル) の設計や製造の技術コンサルタントを継続している。そしてWebinarでは、電解液系リチウムイオン電池の発展と共に歩んできた技術者が、自分の経験から考える“脱炭素やEV拡大、次世代リチウムイオン電池”について話している。
本Webinarでは、目次の1.~4.では可能な限り数値データで現状を捉えたい。5.と6.は全固体電池を含む次世代リチウムイオン電池と、現在の電池技術が取り残した問題点などを、要点を追って考えたい。しかしながら化学原理的な、電気化学的な合理性の範囲で、残された問題解決の可能性は極めて少ない。
原理的に貯められない電気エネルギーを、蓄電デバイス (電池) に閉じ込めることは無駄な努力である。電池は単なる容器である、欲しいのは中味の電気エネルギーである。燃料電池など発電デバイスに転換して、炭素から水素への転換する方が、グローバルなエネルギー課題の解決には早道ではないかとも考えられる。
- EVの生産と電池のGWh総量、2020年〜2030年
- EVの拡大と総量1,000GWhへの推移
- ガソリン車全廃のポイント試算と電池GWh
- 国内リチウムイオン電池生産統計、車載用とその他
- 経済産業省統計の推移
- 財務省貿易統計の推移
- 日本のリチウムイオン電池生産の転機
- 中国と欧米のリチウムイオン電池生産
- 中国の拡大と変化
- 欧州の工場計画と進行状況
- 米国のBig4とTESLA社
- 韓国その他地域
- 自動車の脱炭素シフト (選択と集中)
- ハイブリッドHV、プラグインPHVとEV
- EVの発電CO2負荷と“電費”
- 燃料電池車FCVのモデルチェンジと大型化
- 各国のFCV戦略、計画と実行性
- 次世代リチウムイオン電池
- 電解液系リチウムイオン電池、出来ること出来ないこと
- 全固体リチウムイオン電池 (1) 、メリットとデメリット
- 全固体リチウムイオン電池 (2) 、実用化へのシナリオ
- 取り残した問題点など
- 電池のコストダウン、湿式工程の限界と原材料
- 安全性と劣化・寿命、進歩したのかしないのか
- 比容量と比出力、トレードオフからは逃げられない
- 廃電池のリユース&リサイクル、10年後の姿は
- まとめ
- 二次電池の東西南北
- 日本のリチウムイオン電池、生産と市場
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