第1部 酸化物系全固体型二次電池に向けた界面の構築技術と今後の課題
(2021年9月3日 10:30〜12:00)
酸化物系固体電解質は焼結性が低い物質が多く、界面接合が困難である。酸化物系固体電解質を用いてバルク型全固体電池を構築するには、物質・材料だけでなく、プロセス、構造の観点で設計する必要である。
本講座では、バルク型全固体電池の課題と取り組みについて、既報の研究例の紹介と、筆者らによるバルク型全固体電池の開発例の一部を紹介する。
- 酸化物系全固体電池の種類と動向
- バルク型酸化物系全固体電池の開発事例
- ガーネット型固体電解質を用いた全固体電池の開発
- 正極
- リチウム負極
- 今後の課題
第2部 電解質/電極界面の不純物制御による全固体電池の高性能化: 高速充放電と容量増加
(2021年9月3日 13:00〜14:30)
現在、電子デバイスや電気自動車の電源として、高い安全性・高いエネルギー密度・高速充放電が実現可能な、全固体電池に大きな注目が集まっている。 そうした全固体電池の実用化に向けた課題の一つに、固体電解質と正極材料の界面でのイオン移動の抵抗 (界面抵抗) の低減が挙げられる。
これまで我々は、高電位正極材料LiNi0.5Mn1.5O4を正極材料とする全固体電池に着目し、全真空プロセスを活用し、電解質/正極界面におけるイントリンシックな電気化学特性を評価してきた。
その結果、低い界面抵抗は、不純物を含まない清浄な界面で実現することが分かり、また、14 mA/cm2という高電流密度 (3600Cに相当) での高速充放電も実証した [H. Kawasoko et al., ACS Appl. Mater. Interfaces 10, 27498 (2018) ]。
さらに、清浄な電解質/正極界面では、Liが自発的に移動し、界面近傍にLi2Ni0.5Mn1.5O4が形成されることを見出した。そして、Li2Ni0.5Mn1.5O4を放電状態とした安定した充放電動作を確認し、電池容量の倍増を実現した [H. Kawasoko et al., ACS Appl. Mater. Interfaces 13, 5861 (2021) ]。そこで本講演では、上記のLiNi0.5Mn1.5O4を正極材料とする全固体電池についての研究成果を紹介する。
- 全固体電池における界面抵抗の低減、および高速充放電の実現
- 全固体電池の電解質/電極界面近傍におけるLi分布の決定
- 界面不純物制御による全固体電池の電池容量の増大
第3部 電気化学的に形成される全固体電池界面の開発動向
(2021年9月3日 14:40〜16:10)
全固体電池用の材料系として、酸化物系、硫化物系、水素化物系等が世界的に検討されている。本講座では、酸化物系材料及び水素化物系材料に焦点を当て、電極または電解質を電気化学的に形成させることで、レート特性の改善やエネルギー密度の向上を狙った研究について紹介する。
- ナシコン型酸化物系材料1種類からなる全固体電池 (単相型全固体電池) の電池特性評価
- 単相型全固体電池の酸化還元機構の解明
- 単相型全固体電池における「その場形成電極」分布の評価
- 水素化物系電極材料からの「その場形成固体電解質」を利用した電池の特性評価
- 水素化物系電極材料からの「その場形成固体電解質」の生成状況の評価
- その他、「その場形成する」電極・固体電解質の紹介
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