五感のなかで、最もデバイス化が遅れているのが「嗅覚」です。人工嗅覚の実現を難しくしている大きな要因が、その測定対象である「ニオイ」の複雑さです。「ニオイ」とは、40万種類以上といわれる各成分が、任意の割合で数種から数千種混ざり合って形成されるものであり、さらにこれが時間的にも空間的にも絶えず揺らぎ続けます。この捉えどころの無い「ニオイ」を測り、人間が理解できる情報に変換する人工嗅覚の実現は、最高難度の科学技術課題のひとつといえます。
本講座では、各種アプリケーションに向けた嗅覚センサシステムの実現に向けて、まず1982年から続く世界各国でのさまざまな研究開発の歴史を振り返り、何がどこまで研究され、現状では何が課題になっているのかをまとめます。これを踏まえた上で、嗅覚センサに必要とされる要素を網羅した膜型表面応力センサ (Membrane-type Surface stress Sensor, MSS) を軸に、我々が進めている研究開発を紹介します。特に、MSSの動作原理や特徴などを、開発者の視点から詳細に説明します。さらに、最先端のハードウェア (センサ素子+感応膜、流路設計など) とソフトウェア (機械学習など) を統合する総合的な研究開発について、アプリケーション事例も含め、最新の成果とともにご紹介します。
- はじめに
- 嗅覚センサの歴史と現状
- 生物の嗅覚と嗅覚センサの違い
- 嗅覚センサシステムの要素と相互関係および技術課題
- MSSと周辺技術の研究開発
- ナノメカニカルセンサについて
- カンチレバーからMSSに至る経緯の技術的解説
- MSSの動作原理と各部の役割について
- 感応膜の設計と各種被覆方法の可能性と課題
- MSSの応用例
- 産学官連携による最先端技術の垂直統合
- MSSアライアンスについて
- 新・MSSフォーラムのご案内
- 機械学習との融合
- ニオイの特定指標の定量推定
- 「伝達関数比」によるフリーハンド測定
- 「擬原臭」によるニオイのデジタル化
- 別のアプローチ
- 逆転の発想による「固体材料のパターン認識」
- 名刺でもできる質量分析「流体熱力学質量分析」
- 各種最先端ガス分析装置の紹介
- まとめと今後の展望
- アプリケーションの分類
- 生体ガスによる非侵襲性医療診断の動向と可能性
- 嗅覚センサに関する技術的な考え方
- 将来展望と今後の課題
複数名同時受講割引について
- 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 45,000円(税別) / 49,500円(税込) で受講いただけます。
- 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 50,000円(税別) / 55,000円(税込)
- 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 90,000円(税別) / 99,000円(税込)
- 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 135,000円(税別) / 148,500円(税込)
- 同一法人内による複数名同時申込みのみ適用いたします。
- 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
- 他の割引は併用できません。
アカデミック割引
- 1名様あたり 30,000円(税別) / 33,000円(税込)
日本国内に所在しており、以下に該当する方は、アカデミック割引が適用いただけます。
- 学校教育法にて規定された国、地方公共団体、および学校法人格を有する大学、大学院、短期大学、附属病院、高等専門学校および各種学校の教員、生徒
- 病院などの医療機関・医療関連機関に勤務する医療従事者
- 文部科学省、経済産業省が設置した独立行政法人に勤務する研究者。理化学研究所、産業技術総合研究所など
- 公設試験研究機関。地方公共団体に置かれる試験所、研究センター、技術センターなどの機関で、試験研究および企業支援に関する業務に従事する方
ライブ配信セミナーについて
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ライブ配信の画面上でスライド資料は表示されますので、セミナー視聴には差し支えございません。
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