再生医療とは人工的に組織や臓器を構築する技術をベースとする新しい治療法を生み出すアプローチであり、細胞生物学と組織工学を両輪として成り立っている。iPS細胞の樹立によって再生医療を実現するための優れた細胞ソースが利用できるようになった。一方、それら優れた細胞ソースを生体外で人工的に組織化する組織再生技術も同時に必要になってくるため、組織工学技術の進歩もまた求められている。組織を再生するための技術を開発するためには、バイオマテリアルに代表される工学技術を含む医工学分野の知見が必要であることから、本講座では細胞培養の基礎からバイオマテリアルを利用した組織工学への応用例まで幅広く紹介する。それらを通じて再生医療の現状と課題について紹介し、今後必要となる新しい技術を生み出す参考にしていただきたい。また、当研究所において進めている独自の組織工学手法である細胞シート技術についても詳しく紹介する。
細胞培養やバイオマテリアルに関する基礎知識から解説することで、医工学分野の専門知識をお持ちでない方にも組織工学・再生医療の現状と課題について理解できるようにお話しします。また、ご自身の専門分野の技術が医工学分野に新しく応用できる可能性について検討する足掛かりとなることを期待しています。
- 細胞培養について
- 培養細胞の種類
- 細胞と培養基材の関係
- 細胞接着のための生体由来材料
- iPS細胞の培養
- 再生医療における自家細胞と他家細胞
- 組織再生のための大量培養技術
- 次元組織作製技術
- 組織工学と再生医療
- 3次元ゲル・スキャホールドによる培養
- スフェロイド形成
- 細胞ファイバー
- バイオプリンティング
- 器官原基作製法
- 再生医療技術の製品化
- 細胞シート工学による組織再生
- 温度応答性培養皿の設計
- 細胞シートの臨床応用
- 3次元組織の構築
- 組織の大型化に向けた血管網導入
- 大量生産に向けたオートメーション化
- 筋組織の作製技術と培養肉作製への展開
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