次世代照明としてLED照明が注目されている。特に東北大震災以来、白色LEDを用いるLED電球がエネルギー問題への救世主と考えられ、照明業界のLED照明へのシフトは加速している。
LED照明で使用されている蛍光体はキーマテリアルでありながら、マーケットサイズの問題でビジネスには多くの問題がある。一般的な書籍や講演で取り扱われるLED蛍光体材料は既存の窒化物または酸窒化物に集中しており、新規材料の開発状況やリモートフォスファーなどの新しい構成部材についての幅広い取り組みをフォローしていない。
本講演では、現行の白色LED 用蛍光体の長所と欠点、そしてそれを解決するための新規蛍光体への取り組み、およびLED 部材としての構成の開発を幅広く解説する。特に最新の情報に基づき、具体的な蛍光体の使用方法とビジネス動向について論じる。
- 蛍光体の基礎知識と設計
- 蛍光体とは古くさい材料なのか?
- 他の実用蛍光体とLED蛍光体の大きな違い
- 他の照明に対する白色LEDの発光スペクトルの特徴
- LEDで白色発光を得るためになぜ黄色蛍光体なのか?
- 照明とバックライトの違い、そしてそれを実現するための蛍光体の設計指針
- 希土類 (レアアース) が蛍光体に必須な理由と希土類問題、Mn4+の使い道はあるのか?
- なぜLED蛍光体は粉末でなければならないのか?
- 希土類イオンの光学的な特徴
- なぜLED用蛍光体はケイ酸塩と窒化物で、発光イオンはEu2+とCe3+ばかりなのか?
- 実用LED用蛍光体の長所と欠点
- 黄色 (Y,Gd) 3 (Al,Ga) 5O12:Ce (日亜化学) 言われるほど熱特性は悪くない?
- 黄色 (Ba,Sr,Ca) 2SiO4:Eu (豊田合成) 化学的安定性はコーティングで解決か?
- 黄色α-Caサイアロン:Eu 「もう一つ効率がね」という評判は克服できたのか?
- 燈色 (Ba,Sr) 3SiO5:Eu 劣化の克服は可能か?
- 赤色 (Ca,Sr) 2Si5N8:Eu カズンに勝てるのか?
- 赤色 (Ca,Sr) AlSiN3:Eu パテントの問題は?
- 青緑-黄色 (Ba,Sr,Ca) Si2O2N2:Eu 魅力的な色に対して、安定性の低さの罠
- 緑色β-サイアロン:Eu 思ったほど色が良くない?
- 緑色Ca3Sc2Si3O12:Ce 新しい照明用緑蛍光体に対する逆風とは?
- 緑色CaSc2O4:Ce 価格の問題はあるのか?
- 黄色Li2SrSiO4:Eu 新しい黄色蛍光体のビジネス的な問題点
- 緑色Ba3Si6O12N2:Eu バックライトなのか?照明なのか?
- その他の蛍光体
- その他の最新の話題
- 1kg 何十万円から何百万円以上の高価なLED用蛍光体がなぜビッグビジネスにならないのか?
- LED用蛍光体への新規参入の意味はありますか?
- 世界における蛍光体企業および研究者
- リモートフォスファーのような新しい部材構成
- 水溶性シリコン化合物や気相法などの新しい蛍光体の合成手法、気相法により蛍光体が2.6倍明るくなるは本当か?新しい合成手法の長所と問題点