帯電現象の対策について実務レベルの技術やノウハウは1983年から進歩していない。あえてわずかな進歩を述べれば、たばこの灰付着テストをインピーダンスの計測で可能になったぐらいで、帯電防止層の緩和特性について電荷減衰の測定など古くからおこなわれてきた。そして表面比抵抗と電荷減衰、その他の帯電評価法による測定値との間に相関が無いことがわかり、商品化ではすべてを測定するように、という注意書きが1983年の書物に書かれていた。現在でも帯電現象について科学の形式知により金属の接触帯電を理解できただけであり、それ以外は、経験知による説明があるに過ぎない。ゆえに帯電防止技術は、経験知の占める割合が高い技術分野といえる。そのため帯電現象について、実務経験が少ないとその技術的難易度を理解できないだけでなく、誤った材料設計を行い市場で帯電現象により引き起こされる品質問題に悩むことになる。
本セミナーでは、絶縁体である高分子に導電性を付与するときに現れるパーコレーション転移について独自のモデルによるシミュレーションで現象をわかりやすく説明し、帯電防止技術において処方設計に展開する方法をフィルムの帯電防止事例で示す。
- 誘電体の基礎
- 誘電体とは
- 誘電体の電気的性質
- 事例:電気粘性流体
- パーコレーション転移
- パーコレーション概説
- 微粒子分散モデルによるシミュレーション
- 複合則との比較
- パーコレーションと高分子物性
- 事例:Wパーコレーション転移制御半導体ベルト
- 高分子と帯電防止技術
- 静電気の発生機構
- 帯電防止評価技術
- インピーダンス法
- 評価技術と帯電防止設計
- 高分子の帯電防止剤
- ブリードアウトについて
- 帯電防止剤の種類
- まとめ
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