近年のPIC/SやICHによるGMPグローバル化の中、医薬品のサプライチェーンにおいてはCMO (製造受託事業) や円滑な原料調達を目的とした供給者 (サプライヤー) 管理が益々その重要度を増している。
また、医薬品の委受託製造は、欧米では1990年代ごろから製薬産業の発展に大きく寄与してきたが、わが国においては2005年4月の薬事法改定により全面製造委託、試験委託が可能となり、受託製造をビジネスとして本格的に行うCMO (Contract Manufacturing Organization) が近年非常に発展しているのが現状である。
他方、サプライヤー管理の対象が、GMP要件の広がりに伴いこれまでの原材料の直接の製造業者のみに限定されず、関連する製造機器や製造支援設備メーカー、コンピューターなどのハードソフト製造業者、そして製品を流通させる代理店、仲介業者、貿易業、流通業者なども加え、より広範な領域にまで拡大しているが、これらを適切に管理することが、医薬品の恒常的な品質確保や安定供給にとっては必要不可欠と言ってもよい状況にある。今年8月1日公布のGMP省令改正においても「供給者管理」が、その重要性に鑑みGMP上の管理規定として省令化された。製造販売業者や製造業者が行うべきCMOやサプラーヤー管理が適正でない場合には、市場へ製品供給不可、引いては市場への製品欠品という深刻な事態を招くことにもなりかねない。
今回は、GMP省令改正を踏まえ、海外からの医薬品原材料調達と供給者管理の留意点について、医薬品品質システム (PQS) 及び品質リスクマネジメント (QRM) 管理を具体的な事例を交えながら解説する。
- CMO/供給者管理・原料調達過程における選定評価と契約のポイント
- はじめに
- GMP省令改正 (R3年8月1日施行) における「原料等の供給者の管理」第十一条の四
- CMOの増加と背景及びCMO管理の留意点
- PIC/S、国内GMP対応した適切なサプライヤー (供給者) 管理とは
- 外部試験検査管理の留意点
- CMO/サプライヤーの選定評価
- 委受託製造の要件、契約、原薬/製剤/試験の技術移転、商用開始、安定生産
- CMO/供給者 (製造業者及び原材料供給業者) との品質取り決めのポイント
- GDP対応と輸送バリデーション
- 海外ルートからの原料調達における供給者管理・契約上の留意点
(製品欠品を起こさないための適切な原材料管理とは)
- 原料供給者管理における手順書、製品標準書への落とし込み
- 委託先・原料調達における訪問調査 (実地調査) の実施例
- 製造業者 – 原薬製造業者 – 輸入業者3者間の品質取決め:和英対応取決めの雛形
- GMP基準を踏まえた、受け入れ試験実施およびサンプリングの手法
- サプライヤー管理における受け入れ試験およびサンプリング
- 原則および採取する職員
- 出発原料のサンプリング:√n + 1、サンプリング数の削減、JIS抜取試験
- CMO/サプライヤー監査のポイント
- CMO/サプライヤー監査とは
- CMO監査とサプライヤー監査の違い及び、供給者選定における監査の位置と比重
- 供給者に求められる品質保証と監査のタイミング
- 委託・納入先との適正な品質保証システムとは
(供給業者との契約、及び第三者監査体制も含めて)
- 監査手順、新規CMO/サプライヤーと認定評価済CMO/サプライヤー
- 評価の留意点と重要ポイント (技術移管、遵守事項)
- チェックリストによる詳細確認事項の具体例
- 海外供給業者への監査手順と評価法 (実施例)
- 包装
- 製剤
- API
- 原料中間体
- 資材容被製造施設
- 試験施設
- サプライヤー管理の要件と今後の課題
- GMP省令改正 (来年度公布予定) と供給者管理:規制当局の動向
- FDA査察指摘トレンド
- 課題と対応
- 医薬品品質システム (PQS) 及び品質リスクマネジメント (QRM) の活用
- リスクマネジメント
- ICH Qトリオ及びQ12による継続的な品質改善と得られる成果
- CMO/サプライヤー管理におけるリスクマネジメントの活用
- まとめ
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