本セミナーでは、センサや画像認識システムなど、ロボット技術の応用で自動車はどこまで進化するのか、3名の専門家が解説いたします。
~カーロボティクスの展開と空間知能化~
(2012年1月27日 11:00~12:30)
ロボティクスはセンサを用いて環境を認識しアクチュエータを用いて環境に働きかけることである。 多くの場合、いわゆるロボットとして考えられるが、環境自身がそのような機能を持つことも考えられる。 道路がセンサを持ち自動車がセンサを持つ現在では、これらからなるシステムはロボティクスと捉えられ、ITS (知的交通システム) として研究が進んでいる。 ここではロボティクスが大きな役割を果たしており、カーロボティクスという分野を創り出している。 本講座では、環境側の知能化と移動体の知能化の両面からモビリティの進化の方向を検討しカーロボティクスの動向を紹介するとともに、人と一体化するパーソナルモビリティにも言及する。 また、電脳空間とのインターフェースである空間知能化によるモビリティの新しいコンセプトに関しても議論する。
(2012年1月27日 13:10~14:40)
2004年からアメリカ国防高等研究計画局 (DARPA) の世界初の長距離無人自動車の競技が行われ2007年まで開催され、その後プロジェクトから派生し、近年ではグーグルの公道での自動運転の実験が公開されるなどロボカーがニュースの話題になってきている。 日本においては、2008年に自動車技術会と日本ロボット学会によるカー・ロボティクス研究専門委員会が設立され、自動車にロボット技術を活用する研究交流活動が推進されてきた。 研究開発の方向性としては、安全と快適なドライブ、そして環境負荷の軽減が期待されている。 2001年より人型ロボットの開発ベンチャーとしてスタートしたZMPが自動車分野において、人型ロボットで培った技術をどのように自動車分野に適用させようとしているのか、また、どのような製品を生み出し、貢献をしていこうとしているか事例を交えてご紹介する。
(2012年1月27日 14:50~16:20)
ドライバーの集中度、眠気、疲労などの状態が機械によって推定できれば、危険運転を防止するために様々な安全のための処置を自動車に組み込むことができる。すなわち、警告や運転操作への介入を適切に行うことが可能となる。このような目的でドライバの状態推定を行う場合、そのための計器が車載可能であり、運転操作の邪魔にならないことが必要であり、また可能であれば、推定結果が定量的であることが求められる。 本講演では、車載可能な計器でドライバの生理指標、運転操作などを計測し、それに基づいてドライバの状態推定を行う技術につての到達点を解説する。人には個人差があり、生理的な状態が運転操作に及ぼす影響は、運転環境だけではなく個人のメンタルな状態 (興奮している、怒っている、リラックスしているなどの感情の状態など) によっても変化する。これを考慮すると、ドライバの状態推定は簡単な技術ではなく、様々な課題が存在する。この講演では、研究開発における様々な課題についても整理して説明する。