ヘルスケア企業のIT産業への参入とビジネスチャンス / 事業開発のポイント

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第1部. 製薬企業による医療機器・デジタルヘルスへの参入と意思決定

 製薬企業の新規事業は、これまで既存のバリューチェーンを活かしたジェネリック医薬品やOTC医薬品など、あくまで「薬」の範囲内に収まってきた。しかし近年は、その枠を超え、医療機器・デジタルヘルスへの参入が目立つようになってきた。  本セミナーでは、このような背景を受け、製薬企業が医療機器・デジタルヘルスに参入する背景やその意義について、業界の動向を鑑みながら考察する。加えて、演者の製薬企業への新規事業の支援経験から、製薬企業の新規事業が上手く進む企業と、上手く進まない企業の社内体制の違いについて紹介する。最後に、近年デジタルヘルスの分野で展開されている新しいビジネスモデルの類型を概説し、そのビジネスチャンスと周辺動向について紹介する。

  1. はじめに
  2. 製薬企業が医療機器・デジタルヘルスに取り組む意味
    1. 製薬企業を取り巻く経営環境
      1. 製品ライフサイクルの短縮と創薬成功確率の低下
      2. バリューベース・ヘルスケアにおける治療効果の保証
    2. 参入による期待される効果
      1. 既存薬の長期的差別化
      2. 新たな収益源の確保によるポートフォリオの安定化
      3. 治療効果の最大化のための支援
  3. 医療機器・デジタルヘルスの事業開発が頓挫する企業と上手く進む企業の違い
    1. 事業開発が頓挫する企業の特徴
      1. 手段の目的化、目的のブレ
      2. 医薬品事業と同じ指標で新事業を評価
    2. 事業開発がうまく進む企業の特徴
      1. 経営層からのトップダウンと外部戦略人材の登用
      2. 「出島」としての新規事業部門
      3. 社内若手エース人材と外部専門人材の登用
  4. 医療機器・デジタルヘルスの事業開発のポイント
    1. 予防領域の新しいビジネスモデル
      1. BtoBtoC:予防の担い手の主役は企業や自治体、保険者
      2. BtoC:既存の個人消費行動モデルと予防行動の融合
    2. 診断・治療領域における新しいビジネスモデル
      1. 医療機関のアウトカムを改善する医療機器・デジタルヘルス
      2. 医療システム全体としてのエビデンス構築
  5. 医療機器・デジタルヘルスを推進する上で今後注視すべき動向
    1. 海外における医療情報の活用がしやすい国の要件
      1. 医療情報流通に必要な要素
      2. 各国の整備状況の評価
    2. 日本の今後の動向
      1. 日本の医療情報流通に関する施策の進捗状況
      2. バリューベース・ヘルスケアの状況
  6. 終わりに

第2部. 医療機器メーカーに迫るパラダイムシフトと新規参入のねらい目

 医療業界は製薬業界で先行しているバリューベース・ヘルスケアの概念を大きなトレンドとしてパラダイムシフトの必要性に迫られている。医療を取り巻く各ステークホルダーはこの概念の実現に向けて、従来のビジネスのあり方を変容させていかなければならなくなってきている。また一方で、通信技術やAI等の先端技術の医療への導入が進みつつあり、医療のデジタル化という大きなトレンドが医療業界、医療機器メーカーに及ぼすインパクトも大きい。当然ながら、大きな変化の中には新たな事業機会が見いだせるものの、トレンドの表層のみを追った事業開発や研究開発は、機会獲得、投下資本の面からも望ましいものではない。担当者はこの変化の全体像を捉えた上で担当業務を進めていく事が求められる。  本セミナーでは、医療機器業界におけるトレンド変化の全体像を整理した上で、新たに生まれてくる事業機会と医療機器メーカーが検討すべき点について概説する。事業開発および研究開発を行う上で、貴社の検討内容がどのようなトレンドの中に位置づくものであるかを明確化する、あるいは、貴社の検討の周辺領域で新たに取り組めそうな領域の候補を探し出す一助となるような内容をご提供させていただければと考えている。

  1. はじめに
  2. バリューベース・ヘルスケア興隆の背景
    1. マクロ環境変化による医療費増大メカニズムの変化
      1. 高度医療技術により加速する開発コスト
      2. 疾病構造の変化による診療回数の増大
      3. 医療政策の導入による被保険者の質の低下
    2. 医療費適正化の方法変化の必要性
      1. 診療・治療中心の医療から予防・予後への介入へ
      2. パフォーマンスもしくはコストのみを指標とする医療から実際の効果を指標とする医療へ
      3. 「医師中心の医療」から「患者の医師を反映する医療」へ
  3. ステークホルダーの行動変容
    1. これまでのステークホルダー (5P) の行動
      1. 政策立案者 (Policy Maker)
      2. 保険者 (Payer)
      3. 医療 (提供) 機関 (Provider)
      4. 医療従事者 (Physician)
      5. 患者 (Payer)
    2. バリューベース・ヘルスケアで変わるステークホルダーの行動
      1. 疾患の客観的状態だけでなく「患者の主観的状態」にも注目する
      2. 臨床試験時に証明された効果だけでなく「実際の」効果も重視する
      3. 疾患に罹患した後だけでなく「罹患する前から」介入する
    3. ステークホルダーの構造的変化
      1. 事例:予防・早期介入に注力するグループ形成を目指すAmazon等
  4. 医療機器メーカーに迫るパラダイムシフト
    1. 医療機器メーカーの変化の必要性
      1. 患者に関する知識・情報を蓄積する必要性
      2. 機器の売り切りモデルからソリューションのリスクシェアリングモデルへ転換する必要性
      3. 消費者接点を持つ異業種プレイヤーを仮想競合として把握する必要性
    2. 医療機器メーカーに必要な検討
      1. 自社の強みの明確化
      2. 自社が注力すべき提供価値の明確化
      3. 自社のポジションの明確化
      4. 不足する能力の獲得方法の検討
  5. 新たな事業機会
    1. 先端技術・既存技術をソリューションとしてまとめ上げる役割
    2. 患者を含めたステークホルダー・マネジメントの役割
    3. 自動運転化に見る医療機器メーカーの新たな役割
  6. 終わりに

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