第1部. mRNA医薬品の研究開発動向およびそのバイオテック企業の動向
~新型コロナウイルスmRNAワクチン開発の軌跡~
(2021年5月27日 10:00〜12:00)
ワクチンをはじめサイトカインや増殖因子などの種々のmRNAパイプライン開発が海外のmRNAバイオテックにより進行していた中で、2019年末にCOVID-19のパンデミックが起こり、各社の開発トッププライオリティーは、新型コロナウイルスSARS-CoV-2のワクチンに一斉に変わった。全世界が医療危機に直面し、それを救うためのワクチン開発を後押しする巨額の研究開発費助成が世界中から集まりだしたからだ。
本講演では20年1月11日に中国政府がSARS-CoV-2の塩基配列を公表してから僅か11ヶ月後に米国で緊急使用許可 (EUA) となったモデルナのmRNA-1273およびファイザー/ビオンテックのBNT162b2 (コミナティ) などのCOVID-19 mRNAワクチンについて、各社プレスリリースとそれと同時に行われたコンファレンスコールの全てを取材してまとめた著書 (1) を参照しながら紹介したい。
- 新型コロナウイルスの感染拡大で高まるmRNAワクチンへの期待
- 臨床開発へと進む海外バイオテック4社のmRNAワクチン
- モデルナが第1相試験の中間結果を発表、第2相試験を開始へ。キュアバックは第1相開始
- モデルナの第3相試験が開始直前、ファイザー/ビオンテックが米国第1/2相試験中間結果発表
- モデルナ第3相およびファイザー/ビオンテック第2/3相の二つのピボタル試験が同日にスタート (20年7月27日)
- 各国政府がワクチン供給契約を相次ぎ締結
- モデルナおよびファイザー/ビオンテックの第3相試験が進展
- ファイザー/ビオンテックが欧州EMAへの薬事申請を開始、モデルナはEMAへの薬事申請間近
- ファイザー/ビオンテックおよびモデルナが共に、第3相試験の中間結果で90%以上の有効性を報告。
米国で緊急使用許可 (EUA) を審議するFDA諮問委員会開催が決定
- ファイザー/ビオンテックおよびモデルナのmRNAワクチンのEUAが承認。米国民の接種へ向けたワクチン供給がスタート
- 英国変異株B.1.1.7が出現、英国はロックダウン
- mRNAワクチン2剤は英国変異株には有効だが南アフリカ変異株に対する中和活性は弱い。モデルナは南ア変異株特異的mRNAワクチン開発へ
- ファイザー/ビオンテックのBNT162b2 (コミナティ筋注) が国内で特例承認、医療従事者への先行接種がスタート
- モデルナは2020年に合計8の販売子会社を世界に設立し自社販売へ。2021年の予測売上は184億ドル。
第2部. mRNA医薬品に関する特許の取得状況と開発戦略/知財戦略
(2021年5月27日 12:45〜15:15)
現在、医薬品開発において、mRNAを用いた創薬研究が注目されています。具体的には、人工的に構築したmRNAをヒトに投与し、ヒトの体内でmRNAからタンパク質が作り出されることで、疾患治療を行うものです。mRNAとして投与されるため、DNAに組み込まれる心配がなく、核酸分子でありながら治療用タンパクを産生するため、核酸医薬とタンパク医薬の両方の特長を有する医薬品として期待が高まっています。
このようなmRNAを用いた創薬研究を推進するためには、mRNA医薬品に関連する特許動向を分析して、その分析結果に基づいて、今後の研究開発の方向性を検討することが重要です。本講演では、このような視点から、mRNA医薬品の特許動向について説明し、今後の研究開発の課題と方向性について解説します。
- mRNA医薬品と特許
- 最近の特許出願の傾向 (mRNA医薬品を中心に)
- 特許マップによる分析
- mRNA医薬品と特許出願の動向
- mRNAの改変・最適化・安定化
- ドラッグデリバリー (DDS) の利用
- 製造方法、改変技術、精製技術
- 感染症mRNAワクチン
- がん治療用mRNA (がんワクチン)
- mRNA医薬品の適応疾患と特許出願の動向
- 各種がん
- 感染症
- 心筋梗塞、心筋虚血など
- 知覚神経障害、アルツハイマー病、パーキンソン病など
- 骨欠損、椎間板変性疾患、変形性関節症など
- mRNA医薬品のDDSと特許出願の動向
- 筋肉/皮内投与、筋肉内注射
- 静脈内投与・髄腔内投与・鼻腔内投与
- 心筋内投与・脳室内投与・関節内投与
- 脂質ナノ粒子、磁性ナノ粒子、マイクロ粒子
- ポリマー (ミセル型キャリア) 、リポソームなど
- mRNA医薬品に関する登録特許の動向 (事例紹介)
- 特許請求の範囲の記載方法
- 明細書の開示の程度
- 諸外国の登録特許の事例との比較
- 事例を踏まえた最適な明細書・クレームの提案
第3部. mRNA医薬の細胞への効率的送達を目指した化学修飾技術・DDS技術
(2021年5月27日 15:30〜17:00)
患者の体内でタンパク質を産生させるmRNA医薬が、医薬品開発の新しい戦略として注目されている。特に現在、COVID-19に対するmRNAワクチンは強力な成果を挙げつつあり、その有効性が実証されている。またワクチン以外でも、がん免疫治療、再生医療、遺伝性疾患治療において治験が行われており、安全なゲノム編集技術としても期待されている。一方、mRNAは生体内で核酸分解酵素により速やかに分解されるため、細胞内にmRNAを送り届け、効率のよい機能発現に導く技術が必須である。
本セミナーでは、このような技術として、mRNA医薬の化学修飾技術ならびにドラッグデリバリーシステム (DDS) 技術について紹介する。
- mRNA医薬の基礎
- 遺伝子治療・バイオ医薬品との比較
- mRNA医薬の歴史
- mRNA医薬の化学修飾技術
- mRNA製造の基盤技術
- mRNA製造の最新技術
- mRNA医薬のDDS技術
- 脂質ナノ粒子
- 高分子ナノ粒子
- その他のDDS技術
複数名同時受講割引について
- 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 50,000円(税別) / 55,000円(税込) で受講いただけます。
- 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 55,000円(税別) / 60,500円(税込)
- 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 100,000円(税別) / 110,000円(税込)
- 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 150,000円(税別) / 165,000円(税込)
- 同一法人内による複数名同時申込みのみ適用いたします。
- 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
- 他の割引は併用できません。
アカデミック割引
- 1名様あたり 30,000円(税別) / 33,000円(税込)
日本国内に所在しており、以下に該当する方は、アカデミック割引が適用いただけます。
- 学校教育法にて規定された国、地方公共団体、および学校法人格を有する大学、大学院、短期大学、附属病院、高等専門学校および各種学校の教員、生徒
- 病院などの医療機関・医療関連機関に勤務する医療従事者
- 文部科学省、経済産業省が設置した独立行政法人に勤務する研究者。理化学研究所、産業技術総合研究所など
- 公設試験研究機関。地方公共団体に置かれる試験所、研究センター、技術センターなどの機関で、試験研究および企業支援に関する業務に従事する方
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