本セミナーでは、従来の分散法のメリット・デメリットを踏まえ、講師らの提案技術について具体的事例を挙げて紹介いたします。
また、ナノコンポジットの各種特性についてもフィラー分散性との関係を中心に解説いたします。
樹脂の性能改善・新機能付与を目的として、高分子材料中への無機フィラーのナノ分散技術が注目されている。 ナノ分散のための実用手法としては、溶融混練法や溶液混合法に代表されるブレンド法によるトップダウン型の直接分散法が主流であるが、分散性向上のためのナノフィラー表面の疎水化処理が不可欠とされている。 これに対し、講師の研究グループでは、フィラーの表面改質処理を用いない樹脂中へのナノフィラー均一分散技術を提案している。 本セミナーでは、従来の分散手法も簡単に概説した後、本題として、これらの従来法のメリット・デメリットを踏まえ、講師らの提案技術について具体的事例を挙げて解説する。 本技術では、分散性を左右する因子の一つである溶融混練条件の最適化のみならず、高分子中へ添加するシリカフィラーの一次ナノ粒子の会合状態にも着目し、混練の前に無機ナノ粒子のコロイド水溶液の分散・凝集制御により強度・粒子配列構造を調整 (「弱く」会合させた) 無機ナノ粒子の集合体を予備調製しておき、これを溶融樹脂やワニス等の非水系マトリックスと混合・撹拌により複合化させる。 そこで、非水系でのフィラーの分散・凝集の基礎に加え、DLVO理論やコロイド化学等の考え方を基に水溶液中での微粒子の分散・凝集現象の理解も目指す。 さらに、本技術により調製したナノコンポジットの各種特性についてもフィラー分散性との関係を中心に解説する。