第1部
マトリックス樹脂との界面特性向上のための炭素繊維表面処理技術
(2012年2月24日 10:30~11:50)
炭素繊維は、低密度 (1.8g/cm3) でありながら、高強度・高剛性を有する機械的性能に優れた材料と認知されているが、典型的な脆性材料であり、繊維単独では機械的特性を発現させることは出来ず、延性材料である樹脂材料と複合化して用いられるのが一般的である。
そのため、樹脂との複合化で最大の性能が発現するように、炭素繊維は各種表面処理が施されている。
本講演では、アクリル繊維 (PAN繊維) から炭素繊維を製造する技術概要と、樹脂との複合化のために炭素繊維に付与されている表面処理技術、さらに複合材料としての性能発現について紹介する。
- 炭素繊維について
- 炭素繊維の特徴
- PAN系炭素繊維の製造プロセス紹介
- PAN系炭素繊維の特性紹介
- 表面酸化処理について
- PAN系炭素繊維の表面
- 表面酸化処理技術
- サイジング処理について
- サイジング剤の機能; マトリックス樹脂との濡れ性と界面接着性
- サイジング剤の設計思想
- 表面改質炭素繊維の適用例
- プリプレグ用途及びその成型品
- 開繊性、樹脂含浸性への影響
- 機械的性能、外観への影響
- 織物用途及びその成型品
- 製織加工性と樹脂含浸性への影響
- 成形品品位への影響
第2部
連続繊維への高含浸性を可能にする現場重合型熱可塑性樹脂の設計
(2012年2月24日 12:30~13:40)
近年、連続繊維により強化され、且つスタンパブル成形等のハイサイクル成形にも適用可能な熱可塑性樹脂をマトリックスとするCFRP、すなわちCFRTPが注目されている。
連続繊維への高含浸性をも両立させるためにはモノマー状態で含浸させた後に重合させることのできる現場重合型が極めて有利である。
本講演では現場重合型熱可塑性樹脂の設計指針及びその実例を解説する。
- 現場重合型熱可塑性樹脂
- 連鎖重合と逐次重合
- 熱可塑エポキシ樹脂
- 現場重合型PA6
- その他の現場重合型熱可塑性樹脂
- 熱可塑エポキシ樹脂
- 重合前特性
- 硬化物物性
- 熱可塑エポキシ樹脂をマトリックスとするFRTPの特性
- 二次賦形性とハイサイクル成形への適用可能性
- 現場重合型PA6
- 重合前特性
- 硬化物物性
- 現場重合型PA6をマトリックスとするFRTPの特性
- ポリマーアロイ化
第3部
高耐熱性・成形性の両立を可能とするCFRP用熱硬化型非対称イミド樹脂の分子設計
(2012年2月24日 13:50~15:00)
高分子材料の中でも卓越した高温特性を有する芳香族ポリイミドは、化学構造が剛直であるが故に難溶解性・不融性であり、高温流動性・成形加工性を付与させることは難しいとされてきた。
本講演では、耐熱性および成形性の両立を可能とする非対称構造熱硬化型ポリイミド樹脂の化学構造と熱的・力学的性質および高耐熱性炭素繊維複合材料の母材樹脂への応用について紹介する。
- 高分子の耐熱・耐環境性の向上
- 使用限界温度
- 長期耐久性・熱安定性
- 高分子材料の耐宇宙環境特性
- ポリイミドの高性能・高機能化
- 芳香族ポリイミド ~化学構造と秩序形成~
- 面内配向制御
- 新世代非対称構造ポリイミド
- 熱可塑性付与の現状
- 化学構造と集合・立体異性体
- 非対称構造ポリイミドの特異性 ~Tg向上と熱可塑性発現の粘弾性挙動~
- 高溶解性、耐宇宙環境性を有する熱可塑性ポリイミド薄膜「ISAS-TPI」の開発とソーラーセイル
「IKAROS」膜材への適用
- フィルムから構造材料へ
- 耐熱性熱硬化型ポリイミド樹脂
- 高耐熱・高靱性・易成形性の両立
- 新世代高性能樹脂・非対称付加型ポリイミド (1) ~非対称構造酸二無水物~
- 新世代高性能樹脂・非対称付加型ポリイミド (2) ~非対称構造ジアミン~
- 高耐熱性炭素繊維複合材料の開発
第4部
炭素繊維強化樹脂の破面解析を利用した界面接着強度分析
(2012年2月24日 15:10~16:30)
従来非常に困難とされている、CFRPの界面強度の評価方法を紹介する。
樹脂強度の時間依存性を利用した手法である。
この方法を利用して、界面強度の温度・時間依存性を検討し、界面強度は温度・時間に関係なく一定であることがわかった。
- イントロダクション
- 界面強度と複合材料強度の関係
- 従来の界面強度評価方法の紹介
- 本研究のアイデア
- 界面強度の時間依存性
- 実験
- 粘弾性FEM解析
- 結果
- 界面強度の温度依存性
- 実験
- 温度時間換算則を用いた粘弾性解析
- 結果
- 結言
- ここまでの結論
- 今後の展望