近年の医薬品臨床開発における最大の課題は、開発費の高騰や基礎科学の水準向上にもかかわらず成功確率が向上していなかったことです。そのため開発成功確率の向上を企図し、可能な限り臨床薬理学的な機序に基づいてデータを解析し、定量的な意思決定を重視するようになってきています。そのため、Population PK/PD解析の結果とそれに基づくシミュレーションによって適切な次相試験の設計、用法用量の検討と選択、申請ロジックの構築を行うことの重要性が一層増加してきています。一方、Population PK/PD解析はPharmacometrics (ファーマコメトリクス) と呼ばれるサイエンスの中心技術ですが、欧米と異なり日本においては教育訓練の機会が豊富であるとはいえず、特に初心者が独力で学ぶことは難しい状況にあります。
本セミナーでは、Population PK/PD解析について基本的な理論、モデル構築と診断、シミュレーションについて講義し、臨床データを実際に解析するために使えるような基本的な知識と技術を習得してもらうことを目的とします。Population PK/PD解析において標準的に用いられるソフトウェアはNONMEMですので、具体的な解析技術の解説においてはNONMEMを用いることを想定して講義を行います。
- はじめに
- 医薬品開発の課題
- Model Informed Drug DevelopmentとPharmacometrics
- 母集団薬物動態解析を学ぶための準備
- 母集団とは何か
- 薬物動態解析の基礎知識
- 非モデル解析
- コンパートメントモデル解析
- PBPK
- 通常の薬物動態解析と母集団薬物動態解析の違い
- 母集団解析を理解するために必要な生物統計
- 母集団薬物動態解析
- 母集団薬物動態解析の基礎理論
- NONMEMを用いた母集団薬物動態解析
- モデル構築の進め方とモデル診断
- 解析支援ソフトウェアの紹介
- 母集団PKPD解析
- 薬力学解析の目的
- NONMEMを用いた母集団PKPD解析
- Exposure-Response解析の基本
- Clinical Trial Simulation
- 発展的な話題
- 代謝物のPK解析
- 疾患進行モデル
- QSPとその医薬品開発への利用
- 終わりに
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