第1部
慢性痛はなぜ良くならないのか?
~痛みのメカニズムと臨床に基づき、従来の誤解をただす~
慢性痛は良くならないという印象が強い。
確かに、治りにくい病態が多いことも事実だが、その一方で、痛みのメカニズムや治療について、医療者側や患者側が十分な知識・経験を持っていないことが事態をさらに悪化させているのではないか、と思われる症例にも日常診療上数多く遭遇する。
演者は、日米両国における長年にわたる疼痛治療の経験に基づき、従来の教科書的な痛みのメカニズムの解説ではなく、臨床や創薬に役立つ“活きた知識“をお伝えしたいと思う。
- 急性痛 v.s. 慢性痛:なぜ、その違いが重要か?治療にどのように影響してくるのか?
- 最近流行の分類法
- 侵害受容性疼痛
- 神経障害性疼痛
- 心因性疼痛 (でも“心因性疼痛“って何?)
- 慢性痛が難治化する3つの理由:
- 疾患そのものが難治性である
- 患者側に難治性になる理由がある
- 医療者側に難治性になる理由がある
- 観察の理論負荷性:難治性疼痛が難治性疼痛である理由
- 神経障害性疼痛はなぜ難治性になりやすいのか?
- なぜ、痛みの治療はうまく行かないことが多いのか?
- なぜ、痛みの治験はうまく行かないことが多いのか?
第2部
整形外科医の立場から求める疼痛治療薬のプロファイル、将来狙うべきマーケット
運動器慢性疼痛疾患の治療は、多くの薬剤が欧米にかなり遅れたが、昨年来承認されたことにより、一気に日本でも進んできた。
演者は疼痛治療の基礎的な研究及び米国での留学経験から日本でも運動器慢性疼痛の治療体系が変化すると考えている。
- 運動器慢性疼痛は高齢化社会の進展と共に増大している
- 痛みのある変形性関節症、脊椎症だけでも1000万人以上
- 100年前の整形外科は、小児整形外科であった。20歳以下が外来患者の半数を占めていた。
- 現在の整形外科の手術の半数は60歳以上である
- 年齢構成の変化と共に鎮痛剤のニーズは変わってきている
- 様々な運動器疼痛疾患
- 線維筋痛症
- 変形性関節症
- 難治性腰痛
- 神経障害性疼痛
- 鎮痛補助薬しか無かった時代から、リリカ (プレガバリン) 、オピオイド (フェンタニール、トラマドール、レペタンパッチ)など欧米で認可されている薬剤が認可された後の日本の治療の将来。
- 神経障害性疼痛と侵害受傷性疼痛の診断と治療
- 医療保険制度と疼痛治療。日本の制度と他国の制度の違い。
- リリカを使った実際の疼痛治療
- オピオイドを使う際の注意
- フェンタニール、トラマドール、ブプレノルフィンの使い分け
- 求める疼痛治療薬のプロファイル
- 将来狙うべきマーケット