水素脆性とは水素により材料が脆くなり破壊に至る現象で、しばらく使用した後に破壊が起こることから遅れ破壊と呼ばれています。
高力ボルトの遅れ破壊を機に、高強度鋼について盛んに研究が行われましたが、そのメカニズムについては必ずしも明白になってはいません。
近年、水素エネルギーの安全な利用技術の観点から問題視されています。
本講座では、水素脆性の基礎から、試験法、各種材料における水素脆化特性、破壊のメカニズムについて平易に詳解し、さらに水素脆性を防止する指針について解説します。
- 水素脆性の概要
- 遅れ破壊と水素脆性
- 水素脆性の歴史
- 水素脆性破壊の実例
- 材料中の水素
- 存在状態
- 拡散
- トラップ
- 転位による輸送
- 環境と固溶水素
- 各種試験法
- 水素透過試験
- 水素固溶量測定法
- 昇温分析法
- 定荷重試験
- SSRT
- 各種材料の水素脆性
- 鉄及び低合金鋼
- 高強度鋼
- ニッケルおよびニッケル合金
- ステンレス鋼
- アルミニウム合金
- 水素脆性のメカニズム
- 破壊の基本事項
- 軟化と硬化
- 面圧説
- 鉄の原子間凝集力低下説
- 局所変形助長説
- 水素助長塑性誘起空孔説
- 拡散性水素と非拡散性水素
- 水素脆化の防止に向けて
- 指針
- 素材の選択
- 組織
- 添加物
- 表面処理