「柔らかさ」を感じるメカニズムと定量化技術

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本セミナーでは、ヒトが柔らかさ・硬さを感じる原理から解説し、官能評価・機器測定のポイント、データの読み方、解釈の仕方について詳解いたします。

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プログラム

第1部. 柔らかさと硬さの触知覚メカニズム

(2021年5月11日 10:30〜12:00)

 物に触れたときに感じられる柔らかさと硬さは、その質感を決定する重要な因子である。人がこれらを皮膚感覚および深部感覚を用いて知覚する原理は、工業試験機のそれとは大きく異なる。製造業においては、このことを理解しておくのが肝要であると思われる。さらに振動を用いる硬さ知覚の原理は、特にゲームおよびVRインターフェースを初めとするエンターテイメント分野において効果的に活用されている。本講演では、柔らかさと硬さ知覚の原理について、最新の理解を解説しながら、応用事例を紹介していく。

  1. 人が感じる柔らかさとは何か?
  2. 深部感覚による柔らかさ知覚
  3. 皮膚感覚による柔らかさ知覚
  4. ヘルツの接触理論から見た柔らかさ知覚
  5. 深部感覚と皮膚感覚の併用と使い分け
  6. 柔らかさ知覚と摩擦の関係
  7. 人が感じる硬さとは何か?
  8. タップによる硬さ知覚の原理
  9. 振動触刺激による硬さ提示

第2部. ナノスケール触覚センサを用いた 柔らかさの定量化

(2021年5月11日 12:45〜14:45)

 本講座では、触覚センサ、触覚センシング技術の発展により実現が期待される「手触り感の計測技術」ならびに関連する触覚センシング技術を紹介します。これまで多くの技術者・研究者によって手触り感の計測が試みられて来ましたが、人間の指先に及ぶ能力をもった触覚センサが存在せず、今なお挑戦的開発が続けられています。ここでは柔軟な皮膚だけが知ることのできる「やわらかさ」に着目し、我々が開発した触覚センサ技術と触覚のモデリング手法について解説します。

  1. 触覚センシングと人間の触覚
    1. センシングとセンサの役割
    2. センサで人間の感情を測る
  2. 触覚センサとその現状
    1. 触覚センサの各種製造技術
    2. 触覚センサの現状と応用
    3. 「手触り感」定量化の難しさ
  3. ナノ触覚センサで手触り感を測る
    1. ナノ触覚センサとは何か
    2. ナノ触覚センサが持つ性能とポテンシャル
    3. 各種ナノ触覚センサの応用事例
    4. やわらかさのモデリングと計測結果
  4. 手触り感をスキャンする「手触り感スキャナー」の紹介
    1. JST – CRESTの成果展開
    2. 手触り感スキャナーによる実演動画

第3部. 官能評価実験による「柔らかさ」などの触感の定量化と理解、物理量との関係

(2021年5月11日 15:00〜17:00)

 我々はものを触っときに「柔らかい」「すべすべする」などの触感を感じます。また、こうした感覚を統合した結果として、「高級な」「安心する」といったより心理的な用語が連想され、好きな触感、嫌いな触感を判断すると考えられます。本講演では、官能評価実験によってものに触ったときの触感を定量化し、解析することによって、如何にして触感を定量的に理解すれば良いかを解説します。また、定量化された触感が、物理的な測定値とどのように関係するかも紹介します。

  1. 触感知覚構造
    1. 階層的な触感知覚構造の整理
    2. 触感因子の抽出
    3. 階層間の定式化
    4. 場の取り扱い
  2. 触感知覚構造の違い
    1. 触感知覚の地域差 (日本、米国、欧州の比較)
  3. 触感知覚の物理的理解
    1. 触覚と触感
    2. 機械受容器の種類と特性
    3. センサとしての機械受容器の理解
    4. 物理的なセンサで測定できる根拠
    5. センサ測定データからの特徴量の抽出
  4. 官能評価実験の結果と物理的測定データの関係
    1. 本革、布、合皮などの触感の違いの定量的推定
  5. まとめ

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