第1部 昆虫の嗅覚機能の解明とセンシング技術への活用
(2021年4月27日 10:30〜12:00)
昆虫は、時々刻々と変化する環境中の匂い情報をすばやく検知して、環境に適応した行動を示す。生物の中でも昆虫は嗅覚が優れており、触角に備わる嗅覚受容体を使って、環境中の多様な匂い情報を高感度かつ選択的に検出している。これまでに、昆虫のさまざまな嗅覚受容体の機能が明らかとなり、その遺伝子情報が利用できるようになってきた。われわれはこのような昆虫の嗅覚受容体に着目して、匂いを蛍光変化として検出する「センサ細胞」や匂い源へ定位する「センサ昆虫」を開発した。
本講演では、昆虫が備える優れた嗅覚のしくみを概説するとともに、匂いセンシング技術への活用に関する最新の研究成果を紹介する。
- 昆虫の嗅覚
- 昆虫がもつ高性能な嗅覚
- 昆虫の嗅覚器官とその構造
- 昆虫の匂い受容の分子メカニズム
- 昆虫が備える嗅覚のセンサ
- 昆虫の匂い情報の処理機構
- センシング技術への生物嗅覚の活用
- 生物を活用した匂いセンシング技術の現状
- 嗅覚受容体の再構築
- 嗅覚受容体を活用した匂いセンサの基本原理
- 昆虫の嗅覚を活用した匂いセンシング技術
- 匂いを可視化する「センサ細胞」の開発と検出原理
- 「センサ細胞」による匂い簡易計測技術の開発
- 蛍光パターンで匂いを識別するセンサチップの開発
- 匂い源に定位する「センサ昆虫」の開発と検出原理
- 今後の展望と課題
- 本講演の内容は、東京大学先端科学技術研究センター 祐川侑司氏、神崎亮平氏、東京農業大学農学部 櫻井健志氏との共同研究の内容である。
第2部 哺乳類の嗅覚受容体発現細胞を利用した気相中のにおい分子検出手法
(2021年4月27日 13:00〜14:30)
生物は環境中の様々な「におい」を常に感じながら生命活動を営んでいます。ヒトを含む哺乳類動物の嗅覚受容体はGタンパク質共役型受容体に属す7回膜貫通タンパク質です。数百種類におよぶ嗅覚受容体が様々なにおい分子を認識することによって、生物の高感度な嗅覚は成り立っています。私たちは哺乳類嗅覚受容体を生産するヒト由来の培養細胞を用いて、揮発した気相中のにおい対する応答を評価できる動物本来の嗅覚に近いアッセイ手法を構築しました。
本手法は、においに関係する様々な分野で活用できるポテンシャルを持っています。本講座では、哺乳類嗅覚受容体の培養細胞での生産手法と気相のにおい分子検出手法の詳細について、最新の知見を交えながら紹介します。
- 哺乳類の嗅覚の基本原理
- 哺乳類嗅覚受容体タンパク質
- 嗅覚受容体の多様性
- 哺乳類嗅覚受容体発現細胞の構築
- 嗅覚受容体タンパク質のヒト培養細胞での発現方法
- シャペロンタンパク質Receptor transporting proteinの利用
- マウス嗅覚受容体を用いた気相中のにおい分子検出
- 気相アッセイ手法概要
- 気相中のにおい分子への応答と液相刺激との比較
- 嗅覚受容体パネルによる構造類似におい分子の識別
- 応用事例
- 嗅粘液発現タンパク質の嗅覚応答への影響解析
- 香料に応答する嗅覚受容体スクリーニング事例
- 総括および将来展望
第3部 嗅覚受容体を利用したバイオハイブリッド匂いセンサ
(2021年4月27日 14:45〜16:15)
生物が持つ嗅覚受容体は匂いやフェロモンを1分子レベルで識別し一種の情報として検出します。嗅覚受容体の機能を利用したバイオハイブリッドセンサは、汎用されている酸化物半導体型のセンサなどと比べ高い感度と優れた分子選択性が期待されており、その応用範囲は呼気や体臭による病気の診断、麻薬および爆発物の探査や食品の品質管理、環境評価など幅広い分野が想定されています。
ここでは、嗅覚受容体を用いたバイオハイブリッドセンサに関して、最新の動向と将来展望を解説します。
- 序論
- バイオハイブリッドとは
- バイオハイブリッドデバイスの分類
- バイオハイブリッドセンサの背景とニーズ
- バイオハイブリッドセンサ
- バイオハイブリッドセンサの動作原理
- 昆虫の嗅覚受容体の有用性とデバイス応用
- 人工細胞膜を利用したバイオハイブリッドセンサ
- 人工細胞膜とその形成方法
- 人工細胞膜への嗅覚受容体の導入方法
- 人工細胞膜システムによる嗅覚受容体の信号計測
- 応用探索
- ロボット応用
- 保存・搬送性の向上
- 呼気計測への応用
複数名同時受講割引について
- 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 50,000円(税別) / 55,000円(税込) で受講いただけます。
- 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 55,000円(税別) / 60,500円(税込)
- 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 100,000円(税別) / 110,000円(税込)
- 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 150,000円(税別) / 165,000円(税込)
- 同一法人内による複数名同時申込みのみ適用いたします。
- 受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
- 他の割引は併用できません。
アカデミック割引
- 1名様あたり 30,000円(税別) / 33,000円(税込)
日本国内に所在しており、以下に該当する方は、アカデミック割引が適用いただけます。
- 学校教育法にて規定された国、地方公共団体、および学校法人格を有する大学、大学院、短期大学、附属病院、高等専門学校および各種学校の教員、生徒
- 病院などの医療機関・医療関連機関に勤務する医療従事者
- 文部科学省、経済産業省が設置した独立行政法人に勤務する研究者。理化学研究所、産業技術総合研究所など
- 公設試験研究機関。地方公共団体に置かれる試験所、研究センター、技術センターなどの機関で、試験研究および企業支援に関する業務に従事する方
ライブ配信セミナーについて
- 本セミナーは「Zoom」を使ったライブ配信セミナーとなります。
- お申し込み前に、 視聴環境 と テストミーティングへの参加手順 をご確認いただき、 テストミーティング にて動作確認をお願いいたします。
- 開催日前に、接続先URL、ミーティングID、パスワードを別途ご連絡いたします。
- セミナー開催日時に、視聴サイトにログインしていただき、ご視聴ください。
- セミナー資料は郵送にて前日までにお送りいたします。
- 開催まで4営業日を過ぎたお申込みの場合、セミナー資料の到着が、開講日に間に合わない可能性がありますこと、ご了承下さい。
ライブ配信の画面上でスライド資料は表示されますので、セミナー視聴には差し支えございません。
印刷物は後日お手元に届くことになります。
- ご自宅への書類送付を希望の方は、通信欄にご住所・宛先などをご記入ください。
- タブレットやスマートフォンでも受講可能ですが、機能が制限される場合があります。
- 講義の録音、録画などの行為や、権利者の許可なくテキスト資料、講演データの複製、転用、販売などの二次利用することを固く禁じます。
- Zoomのグループにパスワードを設定しています。お申込者以外の参加を防ぐため、パスワードを外部に漏洩しないでください。
万が一、部外者が侵入した場合は管理者側で部外者の退出あるいはセミナーを終了いたします。