LED照明で使用されているLED用蛍光体は色と効率を決める最も重要な材料でありながら、現在のマーケットサイズは小さく、ビジネスには多くの問題がある。そのため、新しい材料の開発も、企業だけでなく国研や大学にも分散しており、新規材料の開発状況を学術会議や書籍だけでフォローすることは難しい。
本講演では、レーザープロジェクタ、レーザー照明、マイクロLEDのような新しい応用展開について、現行の白色LED用蛍光体の長所と欠点だけでなく、それを解決するための新規蛍光体への取り組みの状況を幅広く紹介する。また、近年報告されている新材料とその蛍光特性 – 本当に実用化可能か? – について講師が得た最新の未公開情報に基づき解説する。
- 蛍光体の基礎知識と設計
- 蛍光体の歴史、PLに始まりPLに帰る
- 他の実用蛍光体とLED蛍光体の設計における大きな違い 励起エネルギが母体を経由するか否か
- なぜLED用蛍光体はケイ酸塩と窒化物で、発光イオンはEu2+とCe3+ばかりなのか?結晶学の観点からの分子設計
- バンド理論に基づく新しい熱消光理論、次世代のレーザー励起用蛍光体で重要な考え方
- DOEの勧告に基づきナローバンド (狭帯域発光) 化がブームに
- Mn4+蛍光体の特徴と設計思想
- 実用LED用蛍光体の長所と欠点
- 黄色 (Y,Gd) 3 (Al,Ga) 5O12:Ce (日亜化学) 優れた熱特性と特許問題
- 黄色α-Caサイアロン:Eu オレンジ発光として車載用途で活路を見出す
- 赤色 (Ca,Sr) AlSiN3:Eu リモートフォスファーへの対応と特許問題
- 赤色Sr2Si5N8:Eu 劣化問題はほぼ解決
- 赤色K2SiF6:Mn 狭帯域発光で高い輝度を実現
- 緑色β – サイアロン:Eu バックライト用の狭帯域発光
- 黄色La3Si6N11:Ce YAGとの違いと最近の採用状況
- 蛍光体メーカーおよびビジネスの状況
- 1kg何十万円から何百万円以上の高価なLED用蛍光体がなぜビッグビジネスにならないのか?
- LED用蛍光体への新規参入の意味はありますか?
- 世界における蛍光体企業および研究者
- 日亜化学
- 三菱化学
- 東京化学研究所
- 根本特殊化学
- 電気化学工業
- Daejoo Electronic Materials (韓国)
- LWB
- Intematix
- 北京有色金属研究総院
- 北京宇極科技発展有限会社
- 中国のBig5
- あまり知られていない台湾の蛍光体メーカー
- サムスンの蛍光体内製中止と蛍光体事業を引き継いだ会社
- その他の最新情報
- 新たな蛍光体の開発状況
- Cd系およびCd-フリー量子ドット蛍光体
- ペロブスカイト量子ドット蛍光体
- ガイアフォトン、ゼブライト、FOLP:Eu2+など
- 新しい組成の蛍光体の開発例の紹介、赤外から黄色までの発光
- Phosphor in Glass、セラミックスプレート、リモートフォスファーやChip Scale Packageのような新しい部材構成の利用
- レーザー励起に向けての単結晶や焼結体の利用
- 酸化物、窒化物、フッ化物蛍光体合成のノウハウ、何が一番重要なファクターか?
- マイクロLEDに適した最新の低温合成法
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