本セミナーではにおい・嗅覚について基礎から解説し、センシング技術、においを定量化・可視化する技術について詳解いたします。
(2021年2月26日 13:30〜14:25)
呼気や皮膚ガスには、疾病や代謝に由来する超微少量の揮発性有機化合物 (ガス) が含まれる。生体ガス中に含まれる揮発性成分を高感度・高選択に計測することで、非侵襲的な疾患の早期診断や代謝評価が可能と考えられる。演者は、疾病・代謝に起因する薬物代謝酵素が存在することに着目し、これら代謝酵素を用いた新規な「バイオ蛍光式ガスセンサ (バイオスニファ) 」を開発した。また、揮発性成分を酵素反応にて光情報に変換することで、成分濃度の時空間分布を動画像化する「ガスイメージング装置 (探嗅カメラ) 」を構築した。 本講演では、生体ガス成分を高感度に計測 (イメージング) を行うために開発した上記デバイスとシステムを紹介すると共に、生体応用の結果をもとに、臨床&ヘルスケアへの可能性についても解説する。
(2021年2月26日 14:30〜15:25)
五感のうち、最もデバイス化が遅れているのが「嗅覚」です。測定対象である「ニオイ」は、数十万種類以上といわれる各成分が、任意の割合で数種から数千種混ざり合って形成されており、さらにこれが時間的にも空間的にも絶えず揺らぎます。このように複雑なニオイを測る嗅覚センサを実現するには、センサ素子やシステムの開発に加え、機械学習などによる多次元時系列データの解析技術の開発が重要となります。 本講演では、独自に開発した嗅覚センサ素子「MSS」を軸に、最先端のハードウェア (センサ素子や機能性感応膜など) とソフトウェア (特徴量設計や機械学習モデルなど) の融合について、最新成果や産学官連携と共にご紹介します。
(2021年2月26日 15:30〜16:30)
地球上には多種多様な昆虫種が存在し、さまざまな環境下に生息している。昆虫は、それぞれの環境に適応して生存するために、大気中に漂う匂い物質を高精度に検出できるきわめて優れた嗅覚を備えている。われわれは、昆虫の嗅覚機能を活用した匂いの検知技術を提案し、2種類の「センサ」を開発してきた。すなわち、昆虫の嗅覚受容体を培養細胞で機能発現させることで匂い物質を蛍光変化として検出可能な「センサ細胞」と、遺伝子組換え技術を用いてオスカイコガの特定の神経細胞で嗅覚受容体を機能発現させることで目的の匂い源探索が可能になった「センサ昆虫」である。 本セミナーでは、センサ細胞とセンサ昆虫の基本原理から、さまざまな匂い物質やガス検知に向けた取組みについて紹介する。
教員、学生および医療従事者はアカデミー割引価格にて受講いただけます。