cGMPに「医薬品の製造装置は、製品の安全性、本質、力価、品質または純度を劣化させるような汚染を防止するため、適切に洗浄されたければならない。」とある。またICH Q7 12章にも、「共用設備の品目切り替え時には完全に洗浄すること、専用設備であっても望ましくない物質や微生物汚染を防ぐため、適切なインターバルで洗浄するべきこと。」とあり、いずれも医薬品製造設備洗浄における基本的な考え方が示されている。 洗浄手順はもとより残留物等の許容基準値は、製品の安全性と有効性から論理的且つ科学的な根拠に基づき設定しなければならない。また洗浄バリデーションに用いる試験方法も、残留物を確実に検出するために、特異性及び感度を有する妥当なものでなければならない。また最近は製品ライフサイクルおよびリスクの考慮、毒性学的観点に基づく残留限度値の設定、ダーティーホールドタイムやクリーンホールドタイムやワーストケースを選定する際の科学的根拠が求められる。
本講演では、医薬品製造における最新洗浄バリデーションに関する規制動向を踏まえながら、EMA、PIC/S GMPに対応した洗浄バリデーションの実施とその許容基準値設定を中心に解説する。 なお、2020年11月27日GMP省令改正パブコメが発出され、「交叉汚染の防止」 (第八条の二、第九条) の規定が新たに追加された。このことは日本のGMP規定国際化の観点から画期的なものであるが、この点についても解説する。
- 洗浄バリデーションの実施に関する法規制について
- 海外の洗浄バリデーションに関わる法規制
- PIC/S GMP Annex 15の改定に対応した洗浄バリデーション
- cGMPにおける洗浄バリデーション
- ICH Q7における洗浄バリデーション
- GMP省令施行通知 (H25年) における製品ライフサイクルとリスクに基づいた洗浄バリデーション
- EMA及びPIC/S GMPに対応した洗浄バリデーションのリスク管理及び残留許容基準値設定
- 洗浄工程のリスク管理と交叉汚染のリスクアセスメント
- 残留許容値の設定方法
- 0.1%基準、10ppm基準、目視限度基準 (Eli Lilly社残留基準値の設定根拠)
- PDE (一日暴露許容量) の算出とICH Q3A, Q3C, 元素不純物Q3D,M7各との関連
- EMA暴露限界値設定に関するガイドラインとリスクアセスメント
- NOAEL (無毒性量) ,NOEL (無作用量) ,PDEからの閾値設定
- TTC (毒性学的閾値) 及びOEL (職業暴露限界)
- 原薬製造工程、製剤包装工程における残留許容限度の算出方法 (事例)
- 洗浄剤の残留許容基準回収率の設定方法
- 手洗浄のバリデーション、洗浄バリデーションで基準外だった場合の対応
- 情報量の少ない治験薬、ケミカルハザード物質の洗浄バリデーション
- 閾値設定が出来ない場合の留意点
- 改正GMP省令案 (2020年11月27日) 示された「交叉汚染の防止」規定
(受講者全員に使い易い改正GMP省令/新旧対照表Word版を無料進呈)
- PIC/Sの求めるダーティーホールドタイム (DHT) ・クリーンホールドタイム (CHT) の設定と科学的評価方法
- 洗浄バリデーションにおけるサンプリング及び分析法の留意点
- スワブ法、リンス法と他の方法 (PHなど) の併用
- サンプリングの妥当性の担保とバリデーション
- 分析法バリデーション及び回収率の評価方法
- 3極GMP 洗浄バリデーション査察指摘事例と対策について
- PMDA、cGMP (FDA Warning Letter) 、PIC/S (EU) GMP、ICH Q7による指摘防止
- 洗浄バリデーションに関わる手順書 (SOP) 及び報告書作成上の留意点
- 医薬品ライフサイクルにおける洗浄手順の構築
- 高度な封じ込め設備を必要とする高生理活性/ケミカルハザード物質の洗浄バリデーション
- 固形製剤設備の洗浄バリデーション
(実施事例1:固形製剤)
- マルチパーパス製造設備における高生理活性化合物製造時の洗浄バリデーション
(実施事例2:FDA査察対応)
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