温室効果ガスの主成分であるCO2の排出抑制が喫緊の課題となっており、火力発電所や製鉄所などの大規模CO2排出源のみならず、他産業部門や運輸部門においてもCO2排出削減が強いられる状況となってきた。CO2回収貯留技術 (CCS) は、最も有効な方策の一つとして研究開発が勧められてきたが、CO2分離回収時の所要エネルギー/コストの低減が実用化への障壁となっている。そして、省エネルギー分離技術である膜分離法が、次世代CO2分離回収技術として着目され、様々なCO2分離膜が開発されている。
本講座では、高分子膜を中心に、ガス膜分離の基礎からCO2分離膜の設計、ガス分離性能評価法を説明し、現状と課題や研究開発の方向性について紹介する。また、分離回収したCO2の有効利用 (CCU) も昨今のトピックになっており、その現状や可能性について概説する。
- CO2分離回収技術
- 気候変動とCO2回収貯留技術
- CO2排出源と分離回収技術
- 種々のCO2分離回収技術
- 膜分離法とガス分離膜
- ガス分離膜の基礎
- ガス分離膜の種類
- 高分子膜のガス透過
- ガス分離膜の評価方法
- CO2分離膜の開発
- 開発の指針と要求性能
- CO2分離膜の開発動向
- キャリア介在型促進輸送膜
- 研究開発例 (I2CNERのCO2分離膜)
- 分離膜の課題
- CO2回収有効利用と今後の展望
- CCUSの現状と可能性
- ビヨンドゼロへ向けて
- DACとBECCS
- まとめ
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