我が国を始め、世界中で固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池の開発が活発に進められている。可燃性の有機電解液を不燃性の固体電解質に置き換えたこの電池を実現するためには、電解液の使用を前提としてきたこれまでの材料や電池設計だけでは不十分であり、新たな材料や電池設計技術が必要となる。特に電池反応が進行する電気化学界面は、固体の電極と固体の電解質の接合となるため、全く新しい観点からその形成に取り組む必要がある。
本講演では、二次電池について概説した後に、現行のリチウムイオン電池における課題を取り上げ、全固体化が必要とされる背景を解説する。その後、具体例を交えながら、全固体リチウム二次電池の実現に必要な部材設計や電池設計を紹介し、その用途展開と実用化における課題ついて市場動向をふまえながら解説する。
- 二次電池の基礎
- 電池の部材と構成
- エネルギー密度と出力密度
- 充放電反応とは
- リチウムイオン電池の現状と課題
- 全固体リチウム二次電池
- 電池の全固体化
- 全固体化のメリットと可能性
- 全固体リチウム二次電池の構成
- 固体電解質の種類と特徴
- 電解液との比較
- 固体電解質の合成例
- 適用できる電極材料
- 全固体リチウム二次電池の設計
- 固体 – 固体界面の形成
- イオン伝導助剤の適用
- 中間層の導入
- 短絡の防止
- 三次元構造化
- 三次元構造化のメリット
- バイポーラ型電池
- 全固体リチウム二次電池の用途展開
- 電池の市場の展開
- 競合、用途探索
- 実電池作製上の課題
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