第1部. 事業採算性・製造ボリュームを考慮した細胞製造施設設計および運用の考え方
(2021年1月27日 10:00〜12:00)
ヒト由来の細胞・組織を原料とし生きたまま最終製品とする細胞製造の考え方は、工程設計の考え方が複雑でわかりにくく、これらの製品設計および工程設計の考え方はまだまだ未熟である。そのため、構造設備 (細胞製造施設) の設計においては、GMPの考え方に従い製品の無菌性を担保することを目的とするだけでは不十分で、製品ごとに要求される原料選択基準、ロット構成の有無、製造方法など、適切な工程管理が可能な製造システムを達成する、専用の無菌操作環境および動線の設計が求められる。そして、これらの設計は、細胞製造性を考慮し、製品開発のできる限り早い段階で実施されることが望ましい。
本講演では、細胞製造性に基づく、主要なリスクの考え方と、それらのリスクベースアプローチに基づいた細胞製造の製造工程設計について、製造コスト削減の考え方をふまえて概説する。
- はじめに
- 細胞製造と細胞製造性
- 細胞製造と工程の柔軟性
- 細胞製造と無菌操作環境の運用
- チェンジオーバーガイドラインを活用した製造管理の考え方と製造コスト
- アイソレータシステムを採用した細胞製造施設
- モジュール方式を利用した製造システムの考え方
- おわりに
第2部. CPC作業員の教育・SOP作成におけるGCTP適合の原則と現場対応
(2021年1月27日 12:45〜14:45)
GCTPは、国で定められた再生医療等製品の製造にかかる要件であり、医薬品GMPとは異なる区分となっている。もちろんGXPシリーズであるため、根幹となる大部分は同一であるが、再生医療等製品に特有のロット形成やバリデーション概念が異なっている。再生医療等製品の製造販売を目指すにあたっては、治験を経て、製造を予定している細胞培養加工施設 (以下CPC) において最終的にこのGCTP適合性調査を受ける必要がある。しかしながら、そこに至るまでの治験実施時に「GCTPを念頭に」製造を行うこと自体、スケールアップや製造手順の変更を含むため、綿密な出口戦略を必要とするひとつのハードルとなっている。そこには、GCTPの本質の理解と、細胞加工物の特性と密接に結びついた、開発時からのテクニカルな積み重ねが必要となる。
ここでは、特に製造初期からの教育訓練およびSOPの作成について、GCTP対応を具体的に取り上げながら、GCTP適合体制を構築するにあたって必要となる考え方を整理したい。したがってCPC作業員といっても、外部から製造を受託するCMO系の施設における論とは別になるので注意されたい。
- はじめに
- 治験実施時のGCTP という目標
- CPC 作業員の教育
- マンパワー不足の軽減=作業担当区分
- 製造と開発の違い
- SOP の作成
- 作業担当区分に応じたSOP
- 業務の引継ぎを前提とした培養SOP
- SOP に書かれないCPC 作業員の教育
第3部. シングルユース活用によるGCTP適合とCPC運用の効率化
(2021年1月27日 15:00〜17:00)
再生医療等製品の製造を担うCell Processing Center (CPC) で細胞加工を行うために使用されるプラスチック製品 (シングルユース製品) について、その選定から運用管理のための要点をまとめた。少しでも理解を容易にするために、すでに多くのバイオ医薬品の製造現場で使用されているシングルユース製品との比較を行う。
- はじめに
- シングルユースとは
- シングルユース製品の特徴
- シングルユース製品の使用におけるリスク
- シングルユース製品が重要品質特性へ与える影響について
- 製品品質に与えるシングルユース製品由来の不純物の残存
- 抽出物/溶出物
- 不溶性微粒子および不溶性異物
- エンドトキシンおよび微生物
- シングルユース製品が再生医療等製品の安定供給に与える影響
- シングルユース製品の管理
- おわりに
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