近年、高速大容量の無線通信を可能にするミリ波帯電磁波の利用が急速に拡大しています。5Gでは28 GHz帯や39 GHz帯などが利用される一方で、Beyond 5G/6Gでは通信性能をさらに大幅に向上するために、100 GHz超の周波数帯の利用が見込まれます。一般に、回路の伝送損失は周波数が上がるほど増大するため、低損失化に向けた先端材料開発がBeyond 5G/6G実現のために強く求められます。その中で、誘電率の高精度な測定は、アンテナや基板など材料を利用した部材の設計に必須となるだけでなく、開発材料の優位性を実証するためにも重要です。
本講座では、高周波基板に用いられる低損失材料や、電磁波吸収体に用いられる高周波材料に対するマイクロ波からミリ波帯における誘電率測定を解説します。目的に合わせた測定法の選び方から測定精度の評価方法までを説明いたします。
- 誘電率測定のニーズ
- ミリ波帯電磁波の利用拡大
- 材料の電磁波特性評価の背景
- 誘電率の異方性
- 誘電率の代表的な測定方法
- 誘電率の定義
- 代表的な測定方法①:反射伝送法
- 代表的な測定方法②:共振器法
- 誘電率測定における測定精度 (不確かさ) 評価の必要性
- 高損失材料の誘電率評価技術
- 反射伝送法の測定原理
- 測定精度 (不確かさ) 評価
- サンプル治具の影響
- 低損失材料の面内方向誘電率評価技術
- スプリットシリンダー共振器法の測定原理
- 測定精度 (不確かさ) 評価
- 測定可能範囲の解析
- 低損失材料の面直方向誘電率評価技術
- 平衡型円板共振器法の測定原理
- 測定精度 (不確かさ) 評価
- 測定可能範囲の解析
- 測定再現性の向上に向けた取り組み
- 測定周波数の170 GHzまでの拡張
- 誘電率測定のアンテナ設計への適用事例
- 金属材料の導電率評価技術
- ミリ波帯導電率測定のニーズと現状
- 平衡型円板共振器による導電率測定の原理
- 測定の実証例
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