マイクロリアクター/フロー合成による反応条件を最適化した導入と目的に応じた実生産への適用 (1日目)

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セッション1: シミュレーションを活用したプロセス設計と3Dプリンタによる流路作製

(2020年12月4日 10:00〜11:30)

 コロナ禍の中、世の中では急速にデジタル化が進んでいる。化学プロセスの世界もこのデジタル化の波に乗るためには、マイクロリアクターによるフロー合成の普及が不可欠である。  本講座では、マイクロリアクターによるフロー合成の普及を目指したシミュレーションや3Dプリンタなどの最新技術を熱く講述するとともに、実用化のポイントも紹介する。

  1. マイクロリアクターによるフロー合成の基礎知識
    1. マイクロリアクターの種類と特徴
    2. マイクロ化のメリット・デメリット
    3. マイクロリアクターを用いた実験方法
    4. マイクロリアクターが適用可能なプロセス
  2. 3Dプリンタによる流路作製
    1. 流路の加工方法
    2. 接合方法
    3. 3Dプリンタの活用
    4. 作製したマイクロリアクターの混合性能評価法
  3. シミュレーションを活用したプロセス設計
    1. シミュレーション活用の重要性
    2. 液相反応プロセスでの収率の予測シミュレーション
    3. 乳化プロセスでの液滴生成の予測シミュレーション
  4. デジタル化の波に乗るために
    1. Industry 4.0とSociety 5.0
    2. 将来展望

セッション2: フロー合成設備で考慮すべき配管システム

~安全性と品質を確保するためのサンプリング~

(2020年12月4日 12:15〜13:45)

 フロー合成設備を、生産プロセスにスケールアップをする場合には、実験室レベルに比べると安全性に関する考慮がより重要になる。生産プロセスで使用するためには、実験室で使用していた装置に、安全性の機能を追加する必要となる場合がある。  本講座では、フロー合成の安全性として考慮することに関して説明する。

  1. フロー合成を安全に行うための法規対応
    1. 消防法 (危険物の規制に関する政令)
    2. 防爆
    3. 高圧ガス保安規則
    4. 労働安全衛生法
  2. サンプリング
    1. 分析測定値 – 適合性,代表性,適時性 -
    2. 適切なサンプリングを行うための7つのポイント
      • ポイント1:取出し口
      • ポイント2:フィールド・ステーション・モジュール (減圧システム)
      • ポイント3:ファスト・ループ
      • ポイント4:たまり部
      • ポイント5:流路切り替え
      • ポイント6:温度・圧力設定
      • ポイント7:サンプルの調整
  3. フロー合成の分析サンプリングへの要求

セッション3: 設備及び装置の設計ポイント

~開発向けラボ機と生産システム機におけるコンセプトの違い~

(2020年12月4日 14:00〜15:30)

 連続反応やフロー合成の話題に触れる際に、しばしば「マイクロリアクターですか」という反応を受けます。装置の基本としてはラボ機も生産機も同じ構成で成り立っており、単位時間あたりのスループットと稼働時間により生産スケールが決まるフロー反応では実験機と実生産機の間に明確な線引きが存在しないのは事実である。しかし、ラボシステムと実生産に使用するシステムの設計コンセプトには大きな違いが存在する。  本セミナーでは、実際に稼働している生産設備の例をもとにして、これらの違いを紹介し、主に医薬、ファインケミカルの分野でR&Dから実生産への移行の参考になれば幸いです。  前半では、一般に市販のシステムとして導入可能なフローリアクターシステムの各コンセプトをおさらいし、また各々のシステムがどのようなアプリケーションに適しているのかを紹介します。  次に、フロープロセスならではの化学反応例、そのメリットや限界を考察し、どのようなプロジェクトあるいはプロセスがフロープロセスに適しているのかを考えます。特に、単一の化学反応プロセスの適不適にとらわれず、商業生産としてのプロジェクトにフロープロセスを導入するメリットをどのように見いだすか、という点を理解するヒントとなるような内容、実例紹介としたいと思います。  後半では、バッチ反応のプロセス開発に親しんできた方々にフロープロセスならではのプロセス開発のアプローチと、特に商用生産に向けてどのようなプロセス開発が必要となるかを解説します。この場合もフロー反応そのものだけでは無く、後処理、バッチとのハイブリッド化、シーケンシャルバッチプロセスとの組み合わせやユニークなアプローチによってプロジェクト全体としてのメリットを見いだせるような視点の変換を提供したいと思います。  更に、紙面では紹介しきれなかった実際の製造現場での稼働例、プロセス開発の経緯、コストメリットや安全性の向上などを実現した例を複数紹介し、実現可能性を肌で感じ取っていただきたいと思います。

  1. フローリアクターの基本構成
    • 各種フロー反応システムの特徴
    • システムの基本構成
    • アップストリーム、ダウンストリームプロセス
  2. フロープロセス導入のメリットと制限
    • 化学反応場としてのフロープロセスの独自性
    • スケールアップに対するアプローチ
    • プロセスの本質安全性
    • バッチプロセスとの対比
    • 生産コスト
  3. フロープロセス開発のデザイン
    • ラボシステムを利用してできること
    • フィージビリティスタディからパイロットまで
    • フロープロセスのCPP (Critical Process Parameter) とは
    • ハイブリッドプロセス、シーケンシャルプロセスについて
    • ダウンストリームプロセスの適用性
  4. 実生産システムの例とその特徴
    • ファインケミカル分野での適用例
    • 医薬分野での適用例
  5. 日本国内の法規制
  6. 今後の展開への期待と先進システムの開発事例

セッション4: 合成操作で起こる不具合とトラブル対策

~バッチプロセスとの比較と活用に向けた課題~

(2020年12月4日 15:45〜17:15)

 フロー合成プロセスは近年、低環境負荷、高効率など次世代の生産プロセスとして注目を浴びつつある一方で、製造プロセスとしての適用には解決すべき課題や不具合、トラブルも発生しています。  今回の講座ではフロー合成の基礎からプロセス操作における不具合事例、そしてそのトラブル対策について、ラボプロセスからパイロットプロセスに向けた検討をモデルケースにしながらご紹介します。

  1. フロー合成の発展と歴史
    1. フロー・マイクロ合成の歴史と発展
    2. 開発に向けた取り組み ~開発事例紹介~
  2. フロー合成の目指すところ
    1. 高速混合
    2. 精密温度制御
    3. 滞留時間の精密制御
    4. 単位プロセスの連続化
  3. フロー合成で起こりやすい不具合
    1. パラメータの多さ
    2. 送液不良
    3. 混合不良
    4. 除熱の不良
    5. 閉塞
    6. ラボからパイロットへ
  4. フロー合成プロセスの構築ならびにトラブル対策
    (有機リチウム反応、アニオン重合、イオン液体合成での事例)
    1. ポンプの選択
    2. ミキサ・リアクタの選択
    3. 計測・制御システム
    4. 運転システム
    5. 流体解析技術
  5. 国内外の研究開発動向、今後の展望

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