(2020年12月4日 10:00〜11:30)
コロナ禍の中、世の中では急速にデジタル化が進んでいる。化学プロセスの世界もこのデジタル化の波に乗るためには、マイクロリアクターによるフロー合成の普及が不可欠である。 本講座では、マイクロリアクターによるフロー合成の普及を目指したシミュレーションや3Dプリンタなどの最新技術を熱く講述するとともに、実用化のポイントも紹介する。
~安全性と品質を確保するためのサンプリング~
(2020年12月4日 12:15〜13:45)
フロー合成設備を、生産プロセスにスケールアップをする場合には、実験室レベルに比べると安全性に関する考慮がより重要になる。生産プロセスで使用するためには、実験室で使用していた装置に、安全性の機能を追加する必要となる場合がある。 本講座では、フロー合成の安全性として考慮することに関して説明する。
~開発向けラボ機と生産システム機におけるコンセプトの違い~
(2020年12月4日 14:00〜15:30)
連続反応やフロー合成の話題に触れる際に、しばしば「マイクロリアクターですか」という反応を受けます。装置の基本としてはラボ機も生産機も同じ構成で成り立っており、単位時間あたりのスループットと稼働時間により生産スケールが決まるフロー反応では実験機と実生産機の間に明確な線引きが存在しないのは事実である。しかし、ラボシステムと実生産に使用するシステムの設計コンセプトには大きな違いが存在する。 本セミナーでは、実際に稼働している生産設備の例をもとにして、これらの違いを紹介し、主に医薬、ファインケミカルの分野でR&Dから実生産への移行の参考になれば幸いです。 前半では、一般に市販のシステムとして導入可能なフローリアクターシステムの各コンセプトをおさらいし、また各々のシステムがどのようなアプリケーションに適しているのかを紹介します。 次に、フロープロセスならではの化学反応例、そのメリットや限界を考察し、どのようなプロジェクトあるいはプロセスがフロープロセスに適しているのかを考えます。特に、単一の化学反応プロセスの適不適にとらわれず、商業生産としてのプロジェクトにフロープロセスを導入するメリットをどのように見いだすか、という点を理解するヒントとなるような内容、実例紹介としたいと思います。 後半では、バッチ反応のプロセス開発に親しんできた方々にフロープロセスならではのプロセス開発のアプローチと、特に商用生産に向けてどのようなプロセス開発が必要となるかを解説します。この場合もフロー反応そのものだけでは無く、後処理、バッチとのハイブリッド化、シーケンシャルバッチプロセスとの組み合わせやユニークなアプローチによってプロジェクト全体としてのメリットを見いだせるような視点の変換を提供したいと思います。 更に、紙面では紹介しきれなかった実際の製造現場での稼働例、プロセス開発の経緯、コストメリットや安全性の向上などを実現した例を複数紹介し、実現可能性を肌で感じ取っていただきたいと思います。
~バッチプロセスとの比較と活用に向けた課題~
(2020年12月4日 15:45〜17:15)
フロー合成プロセスは近年、低環境負荷、高効率など次世代の生産プロセスとして注目を浴びつつある一方で、製造プロセスとしての適用には解決すべき課題や不具合、トラブルも発生しています。 今回の講座ではフロー合成の基礎からプロセス操作における不具合事例、そしてそのトラブル対策について、ラボプロセスからパイロットプロセスに向けた検討をモデルケースにしながらご紹介します。
(2020年12月11日 10:00〜11:30)
反応溶液を流して連続的に化学合成を行うフロー合成は、化合物を高速かつ高効率的に得ることのできる技術である。特にマイクロメートルスケールの微細流路を反応場とするマイクロリアクターを用いたフロー合成法は、従来のフラスコ等を用いるマクロなバッチ合成法に比べ、精密な温度制御、高速混合、精密な滞留時間制御などの利点を有している。 本セミナーでは、フローマイクロ合成をその特長ごとに分類し、前半ではそれらの特長が顕著に表れた実験室レベルの合成技術について述べる。後半では工業化の際に重要となる特長を、国内外の企業や研究室で実際に取り組まれている事例をもとに紹介する。
~マイクロ波・ファインバブル・機械学習最適化技術の融合~
(2020年12月11日 12:15〜13:45)
最先端技術であるフロー合成手法は、化合物合成の再現性が極めて高いのが特徴であり、専門的な知識や技術がなくても、レシピ化・自動化を推進することにより医薬品、農薬などのファインケミカルズ中間体原料の合成が期待されている。そのためには、従来技術の延長ではなく、フロー合成に適した技術開発が鍵であり、本講演ではマイクロ波、ファインバブル、機械学習最適化を駆使したフロー合成技術について紹介する。
~バッチプロセスでは不可能なプロセス革新の実現~
(2020年12月11日 14:00〜15:30)
フローリアクターは、現象レベルでは迅速な混合や熱交換、滞留時間の厳密制御、微小空間を活かした界面制御等の特徴を有している。また、プロセスレベルではスケールアップの簡略化、設備のシンプル化、操作面・プロセス面での安全性向上等が期待されている。我々はこのフローリアクターをキーとしたフロープロセスの深耕を進め、バッチプロセスでは実現できない革新プロセスの開発を目指し検討を進めている。 本講演では、最近の我々の事例として、医薬品及びポリマーの製造プロセスへの展開について紹介する。
~連続フロー生産の利点最大化~
(2020年12月11日 15:45〜17:15)
連続フロー生産の利点を最大化し、特有の注意点を克服する手法の一つとしてPAT (Process Analytical Technology) の活用を紹介する。PATはバッチ生産にも活用されてきたが、in situ且つリアルタイムで得られる連続的なデータは連続フロー生産との相性も非常に良い。 PATメーカーの視点から海外企業でのケーススタディーを交えて連続フロー生産のコスト削減、リスク回避を議論させていただく。
教員、学生および医療従事者はアカデミー割引価格にて受講いただけます。