国際的な気候変動枠組条約であるパリ協定 (COP21) において、我が国は2030年の温室効果ガス削減目標を26% (2013年比) とする約束草案を提出している。その削減量の76%を省エネルギー関連に振り分けている。蓄熱関連技術は、環境親和型の省エネルギー技術に位置付けられており、蓄熱システム研究開発や商品流通に対する期待は大きい現状にある。
最近のネット・ゼロ・エネルギー建物や省エネルギー情報機器そして環境対応自動車などの普及による温熱・冷熱エネルギー需要の急増そして多様なエネルギー供給源の最適化に向けての調整、さらに上述の化石燃料利用による環境問題などを勘案した省エネルギーの立場から、蓄熱技術開発に対する期待が大きい現状にある。
特に、我が国の民生部門は、最終エネルギー消費の約3割を占め、その増加割合が顕著であることから、調温調湿などの快適性の追求を基本として、省エネルギー、創エネルギーそして蓄エネルギーを主体とするエネルギーマネジメントシステムの推進が重要課題となっている。最近建築物省エネルギー – 法が施行されて、具体的なネット・ゼロ・エネルギー・ビル (ZEB) や住宅 (ZEH) の構築に欠かせない蓄熱技術に対しても新たな展開が期待されている。一方、運輸部門においても、調温などの車内環境の快適性の確保を基本として、環境規制や経済性を勘案した上で、その変動性を有する排熱 (エンジン冷却熱、排ガス) を活用した蓄熱技術の採用が重要視されている。
さらに、産業部門においても、様々な産業排熱や未利用熱エネルギーの活用から、省エネルギーや創エネルギー機器開発に蓄熱技術の活用などのネット・ゼロ・エネルギー・コンストラクション (ZEC) が進みつつある。このように熱エネルギー有効利用技術としての蓄熱技術は、環境親和型省エネルギーに位置づけられる熱マネジメント技術と言える。
本セミナーでは、蓄熱技術の基礎や蓄熱材料の紹介そして具体的な蓄熱システムの導入事例や採算性などを体系的に説明し、さらに今後の蓄熱技術開発の最新動向にも幅広く言及し、熱エネルギーマネジメント技術としての蓄熱技術の将来像についても明らかにする。
- 最近の熱エネルギー活用に対する蓄熱・蓄冷技術の社会的動向
- 蓄熱・蓄冷そして熱エネルギー搬送技術に対する社会的要請に対して解説する。
- 地球環境保全と熱エネルギー需給緩和に向けての蓄熱・蓄冷技術の社会的要請と現状
- 建築物や自動車そして各種産業における熱エネルギー貯蔵や輸送技術の社会的認知と展開
- 蓄熱蓄冷技術の基礎
- 熱エネルギーマネジメント技術で重要な蓄熱・蓄冷技術の基本的特性など解説する。
- 熱マネジメント技術としての蓄熱・蓄冷技術
- 蓄熱・蓄冷システムの展開
- 蓄熱・蓄冷システムのコストと経済性
- 蓄熱技術開発の計画フロー
- 蓄熱技術に要求される機能特性
- 蓄熱材料として具備しなければならない特徴
- 蓄熱材料の分類と蓄熱システム
- 各種蓄熱・蓄冷材料やシステム化技術の紹介からその新展開に言及する。
- 蓄熱・蓄冷材料の種類と分類
- 蓄熱・蓄冷技術と伝熱機構
- 顕熱蓄熱材と顕熱蓄熱システムの特徴とその新展開
- 潜熱蓄熱材と潜熱蓄熱システムの特徴とその新展開
- 化学蓄熱材と化学蓄熱システムの特徴とその新展開
- 自動車 (内燃機関自動車・電動車) 関連の蓄熱・蓄冷システム特徴とその新展開
- 熱エネルギー搬送技術と機能性熱流体
- 熱エネルギーの距離的空間的課題を克服する手段としてのオンライン熱搬送やオフライン熱搬送に関する基礎と応用に関する様々な技術を解説する。
- 二次冷媒としての機能性熱流体の基礎
- 熱エネルギー搬送エネルギーの低減技術
- 製氷法と氷スラリーの蓄冷と冷熱搬送技術
- 潜熱マイクロカプセルとマイクロエマルションの熱搬送技術
- オフラインによる温熱・冷熱搬送技術
- 今後の蓄熱・蓄冷システム展開と方向性
- 蓄熱・蓄冷技術や熱搬送技術の利用範囲の拡張に向けての最新動向そして先駆的蓄熱・蓄冷技術の基礎となる新たな材料開発について解説する。
- 顕潜熱分離型空調システムや放射空調システムへの蓄熱・蓄冷技術の展開
- 最近の先駆的蓄熱技術の展開
- 固体転移蓄熱
- 柔粘性結晶化蓄熱
- 熱弾性蓄熱
- 光熱変換蓄熱
- 吸着型蓄熱など
複数名受講割引
- 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 22,500円(税別) / 24,750円(税込) で受講いただけます。
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アカデミー割引
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